漫画家のヒロユキ氏。代表作に『ドージンワーク』(芳文社)、『マンガ家さんとアシスタントさんと』(スクウェア・エニックス)、『アホガール』『カノジョも彼女』(講談社)などがあり、アニメ化もされるなど数々の作品を世に送り出している。

そんなヒロユキ氏の趣味が腕時計のコレクション。「腕時計に人生を変えてもらった」と語る彼の腕時計ヒストリーにニュースクランチ編集部が迫った。

「連載をするための理由」がほしかった

――ヒロユキさんの趣味は腕時計のコレクションとお聞きしています。どのようなキッカケで腕時計を集めるようになったのですか?

ヒロユキ 簡潔に言うと、最初は「働く理由」として腕時計を購入しました。僕は『アホガール』という作品で週刊連載をしたのですが、あまりにキツくてリタイアしてしまったことがあります。だから、いつかリベンジしたい気持ちがありました。でも週刊連載って本当に大変で……。やりたい気持ちとやりたくない気持ちのなかで、連載をするための理由がほしくて。それで、お金を使おうと思って腕時計を購入したのがキッカケです。

――働く理由がキッカケだったんですね。ところで、本日つけていらっしゃる腕時計のポイントについて教えてください。

ヒロユキ これはオメガの「スピードマスター」という腕時計です。これを買う前は10年ぐらい腕時計は買っていませんでした。たまたまふらっと時計屋さんに入ったのですが、ショーケースに腕時計が何本か並んでいるなかにコレがあったんです。ひと目みて、単純にかっこいいなと思いました。一目惚れでしたね。腕時計のコレクションが趣味になったキッカケの1本です。

▲オメガの「スピードマスター」

――ちなみに、腕時計に出会うまでに購入した一番高い物ってなんですか?

ヒロユキ 自宅になりますかね(笑)。仕事柄、家にいる時間が長いので、家にはお金をかけました。もともとは物欲があるほうではなかったので、家を買った以外は“これにお金を使った!”とパッと思いつくものはないですね。食事も普通だし、ブランド物を買うわけでもない。知り合いの影響でギターを購入しましたが、それもが数十万でしょうか。そのギターも連載が忙しすぎて今はホコリをかぶっています(苦笑)。

――腕時計は何本ほど持っていますか?

ヒロユキ  二桁です!

――二桁!? 濁しましたね(笑) 1本で満足できなかった理由って何かあるのでしょうか?

ヒロユキ もともとオタクなので、“集める”ということが根本的に好きなんですよね。子どもの頃はプラモデルなども集めていましたし。時計は細かいパーツを組み合わせて小さいケースに詰め込んでいる感じが、とても男心をくすぐります。それに時計は本当にいろんな種類があって、1本1本別のベクトルの良さがあるんです。だからどんどん欲しくなってしまって、あっという間に二桁くらいになっていました(笑)。

あと、腕時計って実物を目で見て手につけると、写真よりずっとカッコよく見えるんです。そうすると、他の腕時計って実物はどんなにカッコいいんだろう? と知的好奇心が止まらなくなってしまって。我慢ができないとも言えますが(笑)。

――どのように使い分けているのでしょうか?

ヒロユキ 当たり前の話ですが、天候によって使い分けますよね。雨の日に革ベルトの腕時計はつけにくいとか、今の時期で言えば、どのくらい汗をかきそうかとか。あとは、やはりその日の気分です。例えば、このイエローゴールドの「デイデイト」(ロレックス)なんか本当にド派手なんですけど、見ていると明るい気持ちになるんです。「自分の気持ちをどのように上げてくれるか」ということで選びますね。

ちなみに、このデイデイトは買っておいてよかったランキング上位に入ります。いま手に入れようと思ったら、かなり困難な1本だと思います。文字盤が天然のターコイズブルーですごく綺麗なんです。

▲ロレックスの「デイデイト」

――腕時計の保管方法について教えてください。それだけの本数を持っていると、ご自宅に腕時計専用のお部屋があったりするんでしょうか?

ヒロユキ  その日つけるもの以外は、別の安全なところに保管しています。旅行で家を空けるときなど、家に高い時計が大量に置いてあると気が気じゃなくなって、旅行も楽しめなくなっちゃったり(苦笑)。高いものですし、セキュリティーは気にします。

――とても高価な物ですが、即決で購入したことはありますか?

ヒロユキ 基本的には即決はしないですね。だいたい数日は悩みます。一度店頭で見て、家に帰ってどうするか考えて、購入を決めたらもう一度お店に行くというパターンが一番多いかもしれません。その場で即決って勢いも大事かもしれませんが、それしてるとキリがないので(笑)。

最近購入したものだとオメガの「シーマスター ダイバー300M」の75周年記念モデルです。Webで見ていいなぁと思って店頭に見にいくことを2回繰り返して、家で悩んで、“やっぱり欲しい!”となって電話で予約しました。ローン抱えてるなかで新規に買うのは非常に心苦しいのですが、ビビッときたというか、久々のヒットでした(笑)。