先日、大学時代の友達の結婚式に出席しました。ちょこちょこ会う友達だからか、結局一番盛り上がった思い出話は、披露宴後に行った飲み会でのユーロ2004の話でした。

結局、みんな中学・高校時代に見ていた選手や、海外サッカーを見始めた頃の選手が一番覚えているんですよね。

チェコ代表のスタメンを思い出していて、ネドベド、ロシツキーは必修として、コラー、チェフ、バロシュ、ポポルスキーまではスッと出るんですけど、ヤンクロフスキーやシュミチェル、さらにガラセク、グリゲラまでいくと、なかなか名前が出てこない……。

僕らは選手名鑑ガチ勢だったので、最後は202センチのコラーが怪我したときに出てくる、198センチのロクベンツはボールが全然収まらない、という話をつまみにレモンサワーを流し込みました。

というわけで、チェコ黄金世代の話はまた今度書くとして、今日はそんな僕ら世代の記憶域に鮮明に保存された伝説の大会、04-05チャンピオンズリーグのリヴァプールについて振り返る、後編です。

泥臭く決勝戦まで勝ち進む

リヴァプール訛りがひどすぎて、代表では会話に支障が出るとイジられていた俺たちのキャプテンこと、ジェラードさんの劇的ミドルで決勝トーナメント進出を勝ち取ったリヴァプール。

決勝トーナメント1回戦では、のちに浦和レッズにやってくるヨーロピアンな雰囲気を漂わせる10番のロブソン・ポンテ(でもブラジル人なので、レッズがリーグ優勝を決めた瞬間はベンチで小太鼓を叩いていた)や、逆に80~90年代のブラジルで育った感丸出し、のちの柏レイソルの10番『穴あきスパイクの魔法使い』フランサ(つま先に穴が空いたモレリア〈ミズノ製のスパイク〉こそ魔法のようなプレーの秘訣、という独自のこだわりを持っていた)を擁したレバークーゼンを粉砕。

そして、今のリヴァプールしか知らない世代は想像がつかないでしょうが、ベスト8に進出したここから先は全て格上チームとの対戦となりました。

準々決勝の相手はイタリアの名門・ユヴェントス。この時期は、カルチョ・スキャンダルでセリエCまで降格させられる寸前なので、まだ世界屈指の強さを誇るチームです。

チェルシーとバルセロナ、ACミランが本命とすると、ユーヴェはリヨンやマンチェスター・ユナイテッドなどと並んで、対抗のグループに入るくらいの強さ。

当時を知らない人にどんなチームか説明すると、シメオネ監督に潤沢な資金を与えた感じ。とにかく隙がなく、今はもう死語になりつつありますが、カテナチオの美学(無失点と10番の一振りで1-0で勝つ)を持つチームで、前線にはデル・ピエロや若き日のイブラヒモビッチがいました。

余談ですが、イタリアの覇権を争ったACミランは、アンチェロッティ監督がいてイタリアらしからぬ華があったので、中高生にはミランのほうが人気がありました。

そんなユヴェントスに挑む、もっと華がないメンバーのリヴァプール。ベニテス監督が連れてきたスペイン人プレーヤーたちは華があったけども、まだ若きシャビ・アロンソはベンチスタート。手堅い采配。

そして、当時としてはやや地味なカードが、なぜか地上波生放送。ありがとうフジテレビ。おかげでスーパーゴールが見られました。

前半、セットプレーからヒーピアがゴールを決めると、シャビ・アロンソと同じくスペイン人で、テクニックに秀でたルイス・ガルシアのスーパードライブシュートで、世界一のGKブッフォンの牙城を破り1stレグを勝利。

いや、勝つと思わなかったな。ルイス・ガルシアのゴールは「マジか!! おい!!」って、テレビの前で叫んだもん。番狂わせです。

〇ユヴェントス戦のゴールは1:46から→ Luis Garcia's BEST Anfield Goals | Boss headers, European classics

余談ですが身長175cmなのに嘘みたいにヘディングが強い、ウイイレでジャンプ力99のファビオ・カンナヴァーロに1発ぶち込まれはしました。フランサといい、当時はそういう個性あふれる選手がいっぱいいたなぁ。

そして2ndレグ、会場のデッレアルピ(当時のユーヴェのホームスタジアム)はピリピリムード。

じつはこの対戦カード、この試合の20年前の決勝で起こった『ヘイゼルの悲劇』という両サポーターの暴動で死者39人を出した、痛ましい事件と同じ対戦カードでした。

あの悲劇を繰り返してはならない、と緊張感があるなかでの試合は、ジェラードが不在という非常にやばい匂いがするリヴァプールが、シャビ・アロンソも頑張って最後まで耐え抜きベスト4進出。

次の相手は優勝候補筆頭のチェルシーです。

当時のプレミアリーグのダントツ首位。一方リヴァプールは5位。力の差はありましたが、「三笘の1ミリ」的な疑惑のゴールで勝利。

試合自体は180分で、この「え? 入ったの? 入ったことにしとけ! 喜んどけ!」みたいな1点だけという、すっごく地味な試合でしたが、リヴァプールが勝てるとしたら、そういう泥試合に持ち込むしかないんだから、それでいいのです!

ちなみに、この試合の裏でやっていたACミラン対PSVはめちゃくちゃ面白かった記憶。
PSVのパク・チソンがすごかったんです!

3-3のアウェーゴールで敗北するも、あと一歩まで追い詰めた若武者たち。背ネームがサッカー史上一番長い『フェネホール・オフ・ヘッセリンク(VENNEGOOR OF HESSELINK)』もいました。

とはいえ、我々日本はクラブW杯の開催地。去年来たのが、ほとんどの選手が引き抜かれ、モウリーニョ監督も夏に巣立ったポルトだったというのに、今年までPSVに来日されても……という気持ちもあったので、PSVにはこの辺でグッドルーザーになってくれると……という思いもあったり、なかったり。