心では笑っているのに、笑えなかったアイドル
「まだ小学4年生だったんですよ、私。年齢的には(26人中)下から3番目だったので、最初はみんな怖く感じました(苦笑)。だって、普通にライブ映像を見ていた、“みにちあ”の子たちも、同じメンバーとしているんですよ(愛来もそのひとり、である)。もう、私にとったら有名人感覚だから、そりゃ、緊張しますよ! みんなフレンドリーに接してくれたので、すぐに仲良くなれましたけど、最初はとにかく怖かったです」
そして、いきなり国立競技場という大舞台でのデビュー。
しかし、彼女にとっては「苦い思い出」しかない、という。
「あのときの立ち位置は身長順で決めたんですよ。最初は私のポジションって、ももクロさんたちに近い目立つ位置だったんですけど、リハーサルの段階でそのポジションから外されて、もっと目立たないポジションに回されちゃったんですよ。
理由は簡単でした。私、ステージの上で笑えなかったんです。いまになって思えば、きっと『笑おう、笑おう!』と必死になりすぎてたんだろうなぁ~って。笑顔を作ろうとしているから、自然な笑顔が出てこない。気持ちとしては、すごく笑っているつもりなのに、それが表情に表れないんですよ。むしろぷるぷる震えちゃってる、まだお客さんも入っていないリハーサルなのに。だから、私にとっての国立競技場って、ひたすら怒られていたイメージしか残っていないんですよね。あとから考えたら、めちゃくちゃいい経験だったんですけど……」
アイドルなのに、笑えない。
心では笑っているのに、笑っているように見えない。
みんなに笑顔を届けたくてアイドルになったはずなのに、なぜか、その大切な部分が上手くいかない、というジレンマ。
「でも、辞めようと思ったことは一度もないんですよ。やっぱり3B juniorのメンバーのことが大好きで、みんなと一緒にいる空間の居心地がものすごくよかったから。結構、悩んでいるメンバーの話を聞くこともあったんですけど、それに引っ張られることもなかったですね。
ライブもまったく苦ではなかったんですよ。それは3B juniorみたいな大人数でパフォーマンスする感じのアイドルが好きだったからだと思う。自分が好きな感じのアイドルを自分がやれているんだから、楽しいじゃないですか! それはマジェスティックセブンも同じです。ああいう感じのアイドルも好きなので。それもあってかマジェスティックセブンとして活動するようになってから、特に何かきっかけがあったわけでもないんですけど、ステージでも自然と笑顔が出せるようになりました。意識して笑顔になるんじゃなくて、楽しくって自然と笑顔が溢れてくる感じですよね」
マジェスティックセブンとは3B juniorのメンバー7人で結成されたグループ内ユニット。このユニットには市川優月だけでなく、小島はな、そして鈴木萌花も参加しており、現在のアメフラっシとの関連性も非常に高いのだが、内面的な部分でも彼女に大きな影響を及ぼすことになる。それについては次回以降で明らかになっていく。