苦手と自覚する歌から逃げてきた

アイドルとして「居場所」を見つけ、笑顔も取り戻した市川優月。

だが、大人数グループならではの壁にもブチ当たる。

「私、歌が下手なんですよ。メンバーはみんな上手かったから、余計にレベルの差が見えちゃうんですよね。友達にも『なんで歌が下手なのにアイドルになろうと思ったの?』と言われるんですけど(苦笑)、もうアイドルに向いていないっていうよりも『なんで、こんなこともできないんだろう』って。

普通だったら、そこで落ち込むんでしょうけど、本当に子どもだったし、めっちゃポジティブに考えちゃったんですよね。『そっか、歌は私の役割じゃないんだ!』みたいな。26人もメンバーがいるから、いろいろ役割があるじゃないですか? みんなが一斉にしゃべりだしたら、さすがにうるさい。だから、トークが役割の子もいるんだろうし、歌が役割の子だっている。だったら、私には違う役割があるんだろうなって。きっと、本当はもっと欲がないとダメなんでしょうけどね。

私はダンスを習っていたんですけど、それも小学3年生からなので、まだ1年ぐらいしかやっていないから、けっして『得意』とはいえない。それでも歌よりはがんばれるかな、と思ったんですけど、自分たちの曲ができていくと気づくわけですよ。どんなにほかの部分で頑張っても、歌割りがなかったら、前には出られないって。えーっ、それって不公平じゃん!って。アハハハ!」

シビアな話をすれば、ここで歌を徹底的に磨いて目立つポジションを奪う、という選択肢もあったはず。でも、市川優月はその道を選ばなかった。

「そうですね。自覚はあります。歌から逃げてきたな、私って……」

 

〇アメフラっシ・テレワークライブVol.1

【連載11回目の追記】
取材のとき、市川優月はけっして目をそらさない。常に笑顔と明るい声。元気が彼女のトレードマークだけれど、その瞳の奥には確固たる思いが備わっている。自分も長所も短所もわかっているからこそ、インタビューにもよどみなく答えていく。虚と実、ならぬ、実と実。次回以降も偽りのない本音に迫っていきたい。(NewsCrunch担当編集より)。

 

『毎週アメフラっシ!』は次回4/21(火)更新予定です、お楽しみに。