「ゆづはな」として初のステージがついに始まる

2020年3月20日。

この日、アメフラっシは完全に二手に分かれての活動を行うことになっていた。

午前11時から秋葉原の「AKIBAカルチャーズ劇場」にて開催されるアイドルフェス『カルチャーズ劇場文化祭FLOWER』に、市川優月と小島はなの「ゆづはな」が出演。そのあと午後1時30分からは渋谷にある「CBGK!」にて上演中の五反田タイガー7th Stage『WORKERS ANTS と 働かないアリ』に、愛来と鈴木萌花が“女優”として舞台に立つ(スターダストプロモーションでは早い段階から、自社の主催イベントについては3月いっぱい中止をすることをアナウンスしていたが、外部のイベントに関しては主催者側に開催の判断が委ねられた)。

五反田タイガーの公演は3月18日から22日まで連日にわたり行われているので、愛来と鈴木萌花はずっと稼働しっぱなしで、20日のみ「ゆづはな」のステージが入る格好となっていた。

もちろん演者はダブルヘッダーなど絶対に不可能だが、見るだけだったら、なんとかなる。

ゆづはなの出番はだいたい12時5分からの25分間の予定。カルチャーズ劇場から秋葉原駅、渋谷駅からCBGK!まではどちらも至近距離にあるので、ゆづはなのステージが終わってすぐに秋葉原を飛び出せば、13時半からの渋谷での公演にもギリギリ間に合う。

同日ほぼ同時刻に別々の場所で活動していたことを体感するには、このダブルヘッダーを敢行するのがベストだし、この連載の記事にも反映させやすいので、それでスケジュールを組んでみた。

午前11時45分。

出番まで20分を切ったところでカルチャーズ劇場の楽屋を訪ねてみると、ゆづはなの2人は廊下に出て最終確認をしている最中だった。

最終確認といえば、普通は動きなどを軽くチェックするような感じだが、2人は壁一枚隔てた会場の中にも響いてしまうんじゃないか、というぐらいの大きな声で、本番さながらに1曲1曲、丁寧に歌っていた。

通常、25分のステージであれば、事前のリハーサルは1回だけで済ませることが多いのだが、今回はゆづはなとして初のステージになる、ということもあって、前日までに3、4回は行なってきたというが、どれだけやっても、やっぱり不安は拭えないのだろう。本当に出番の1分前まで、真剣な表情で動きまわっていた。