ホリスティックビューティの先駆者として「体の内側と肌の相関関係」を数字で解明し、美容ジャーナリストや女優、モデルなど多くの著名人のかかりつけ美容健康サロンとして知られている「BHY」代表取締役・尹生花氏。

人生100年時代と言われる今、これからは「生活習慣」だけではなく、内臓を鍛え、巡らせる「臓活習慣」を取り入れることを提唱する尹氏が、体のさまざまな不調を解消する簡単なセルフケアを紹介する。

※本記事は、尹生花:著『臓活習慣 こころとからだを巡らせる!』(ワニブックス)より一部を抜粋編集したものです。

「気の巡り」が渋滞すると体も不調になる

「気の巡り」が悪いと、わたしたちの体のなかでは、どのようなことが起こるのでしょうか。ここでは、全身にはりめぐらされた「気を運ぶ道」である「経絡(けいらく)」と、ひじやひざといった「関節」との関係を含めて説明していきます。

たとえば、「気」を車、「気」の通り道である「経絡」を道路と考えてみましょう。車が順調に道路を走っていれば問題ありませんが、渋滞が起こると、体のなかでさまざまな不調が発生しやすいのです。

▲「気の巡り」が渋滞すると体も不調になる イメージ:AntiqueJP / PIXTA

とくに、五臓につながる「関節」は、体のなかの交差点のようなものです。交差点は車が集まりやすく、渋滞が起きやすい場所なので、不調が発生しやすいのです。

体のなかでは、ほかにも「血(けつ)」や「水(すい / 体液)」などが流れていますが、これらの流れを支える「気」がスムーズでないと、血や水にも悪影響が出ます。だからこそ、東洋医学では気の巡りを大切にします。

たとえば、水の滞りが肝臓で発生したら脂肪肝、心臓で発生したら心筋梗塞のリスクが高まります。血が滞ると腰痛や頭痛などの不調につながりやすくなります。

私たちの体は、常に気が循環していなければなりません。そのために、具体的にすぐできる、うってつけの臓活習慣をご紹介します。

すぐできるケアを図解で紹介

ちょっとした不調があるときに、いつでもどこでもすぐにできる、簡単なケア方法をご紹介していきます。これらを取り入れることで気が巡り、心身ともにスッキリするはずです。

【関節たたき】

ひとつめは、「肝(かん)」「心(しん)」「脾(ひ)」「肺(はい)」「腎(じん)」それぞれに直接つながっている「経絡」(経絡)の大切な交差点「関節」をたたき、気の滞りを解消するというものです。どれも左右同じで、それぞれ20回を目安におこなってみてください。

眠れないとき、仕事に集中しすぎてイライラしたり、ストレスを感じたときは、「わきの下」をたたきます。左腕をまっすぐ伸ばし、軽く開いた右手で「左わき」をたたきます。ここは、「肝」につながる関節です。

▲『臓活習慣』より

緊張したり、こころが疲れてしまったり、情緒不安定なときは、「ひじの下側(小指側)」を下からたたき上げます。左腕をまっすぐ伸ばし、手の甲を上に向け、軽く握った右手でリズミカルに。ここは「心」につながる関節です。

梅雨の時期や、胃腸の調子が悪いとき、四肢が重だるいときは、足の付け根の「そけい部」を。両足を開いて立ち、「そけい部」を伸ばして、軽く握った手でたたきます。ここは「脾」につながる関節です。

▲『臓活習慣』より

咳、くしゃみ、鼻水の症状のときは、「ひじの上側(親指側)」を。左腕を伸ばし、手の甲を上に向け、「ひじの上側」を軽く握った右手で上からたたきます。ここは「肺」につながる関節です。

▲『臓活習慣』より

腰痛持ちの人や、むくみや下半身太りに悩む人は、「ひざ裏」。まずは両足を肩幅に開いて立ち、左足の甲部分で右足の「ひざ裏」をたたきましょう。足でたたくのが難しい人は、軽く握った手を使い、無理のない姿勢で刺激してみてください。ここは「腎」につながる関節です。

▲『臓活習慣』より

【ツボ押し / マッサージ】

鼻がつまったときや、鼻水が出る症状のときにはもう一つ。鼻筋の左右、小鼻の少し上あたりを、中指の腹を使って上下にマッサージします。鼻がスーッと通って、呼吸がしやすくなるでしょう。

▲『臓活習慣』より

疲れたなと感じたとき、ろれつが回らないときは、舌回し運動を。口の中で歯の外側に舌を当て、なぞるように一周します。左右何回か回していくと、表情筋も鍛えられ、だ液が出て口の中も潤うので一石二鳥。だ液は、体のなかから出る大事な体液なので、そのまま飲み込みましょう。舌は「心(しん)」とつながっているので、この運動は情緒不安定になったときにもおすすめです。

耳鳴りやめまいがするとき、顔色が黒っぽくてくすみがちなときは、「腎」の機能が弱っているかもしれません。そんなときは、両耳に指をしっかりひっかけて、左右にひっぱります。耳まわりの血流がよくなり、体が温かくなるのを感じます。耳は「腎」とつながっているので、体の老化や認知症の予防などにも。

▲『臓活習慣』より

最後に、高血圧など血流に関係するツボをご紹介します。足の甲で、親指と人差し指の骨の間にあるくぼみ部分が、「大衝(たいしょう)」というツボ。「肝」につながっていて、血(けつ)の流れをスムーズにしてくれます。

これら「関節たたき」やツボ押し、マッサージなどは、やり方さえ覚えておけば、いつでもどこでもすぐにできて、気の巡りを実感できることでしょう。