中国5000年の歴史に基づく「中医学」という壮大なエビデンスのもと、これまでのべ3万人以上のからだを診てきた北京中医薬大学医学博士で、美容健康サロン「BHY」代表取締役・尹生花氏。「生活習慣だけではなく“内臓を鍛える”習慣」として、東洋医学の智慧「臓活」を生活に取り入れることを提唱する尹氏が、ついイライラしがちな人に、仕事中でもできる簡単な2つの動作を教えてくれました。
※本記事は、尹生花:著『臓活習慣 こころとからだを巡らせる!』(ワニブックス)より一部を抜粋編集したものです。
「五臓」の巡りを良くして免疫力をアップ
わたしは、中国5000年の歴史に基づく「中医学」という壮大なエビデンスのもと、これまで、のべ3万人以上の方々のからだを診てきました。
伝統的で奥深い中医学と東洋医学の知恵に、23年にわたって実際に多くの人々のからだを診てきた施術の経験が加わることで、目には見えない「気の巡り」がからだとこころにとっていかに重要かを知り、そして「自然そのもの」の大切さをあらためて感じています。
これらの力を最大限まで引き出し、活用するための術を、現代を生きるわたしたちの“生活の知恵”に落とし込んだのが、臓活習慣です。
臓活とは、人間のからだという小宇宙を成す「五臓」、この気の巡りを正しくし、活かすためのケアです。日々の生活に取り入れることで、未病の改善のみならず、自分自身の免疫力を、グッと高めることができます。
五臓のバランスをととのえることがいかに大切か、からだ中に気を巡らせることが、人生にどれだけ大きな影響を与えるのか。臓活習慣を実践されることで、きっと、おわかりいただけるはずです。
ぜひ、臓活習慣を“生活の知恵”として取り入れていただき、健康面で不安定になりがちな時代を生き抜くための術を、力を、身につけていきましょう。
イライラしたときは伸びと深呼吸をしよう
人間は気が滞ると、イライラが強くなり、つい、うまくいかないことを他人のせいにするなど、寛容になれず、包容力に乏しくなってしまうのです。ちなみに、運動不足などで気の巡りが悪い場合にも、同じことが起こります。逆に、からだにしっかりと気が巡れば、多少のことなら許すことができるようになる。つまり、包容力とは人を「許す力」のこと、なのですね。
したがって、包容力のある人間になるためには、からだに気を巡らせることこそが、なによりの近道となるのです。
気を滞らせないためには、同じ姿勢で集中し過ぎないこと、とにかく気分転換に努めること。そして気の滞りを感じたら、ぐーっと伸びをしたり、深呼吸をしましょう。息を吸うときは、胸を広げ、肋骨の中に空気を取り込むイメージで。吐くときは、からだの中にある濁気(だっき/にごった古い気)をすべて、外に追い出すように吐ききります。
気をつけてほしいのは、愚痴が多いとか、他人の悪口を言うような、気が滞っている人とはなるべく会わない、ということ。包容力のない人と会って、許せないことが増えては元も子もありません。