自分の好きなことに対して、並々ならぬこだわりと愛を持っている人がいる。

今回、お話を聞いたソーセージ姉さんは、その名の通り、ソーセージを偏愛している人。過去にはソーセージのことだけを綴ったnoteを立ち上げ、現在はソーセージを愛すあまり、単身ドイツへ移住。ドイツの精肉店でソーセージを作る日々を送っているという。

そんなソーセージ姉さんの偏愛っぷりにフォーカス。一時帰国中のタイミングでソーセージへの愛、そしてドイツでの生活っぷりを余すことなく聞いた。

▲ソーセージ姉さん【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-INTERVIEW】

コロナ禍で自覚したソーセージ愛

子どもの頃からソーセージが好きだったというソーセージ姉さん。

「おいしいところはもちろんなんですけど、ソーセージっていろんな人やメーカーが作っていて、どれも味わいが違います。それに自分で作るってなると、自分好みの味で作れるんですよ。それこそチョコレート入りのソーセージも作れるし、普通のシンプルな塩コショウも作れる。それがおいしかったときの喜びたるや! 私はそれだけでも満足できちゃうんですよね。おもしろいなって」 

そう笑顔で語るソーセージ姉さん。その愛の強さ、深さは、コロナ禍のタイミングでよりはっきりと自覚したという。

「コロナ禍のときに、趣味でソーセージ作りを始めたんです。最初は“作ろうかなあ”ぐらいのフワっとした気持ちだったんですけど、それを自分の父に相談したんですよ。そしたら、“やめろ。100%失敗するぞ!”と言われて、カチンときたんです(笑)。それで、絶対に作ってやろうと思っちゃって、意地で作り始めたんです」

しかし、家でソーセージを作るとなると、一筋縄ではいかなかった。

「初めて作った日は、本当に忘れもしないレベルの大失敗でした(笑)。道具を揃えて作ったはいいのですが、お肉が入ってたり入ってなかったりするところがまばらだったり、食べてみたら全然ジューシーじゃなくて。なんだか茹でたハンバーグみたいな、全然ジューシー感のないソーセージでした。そこから試行錯誤を繰り返して……ようやく10回くらい作って満足のいくものができました」

▲メルカリで買ったというソーセージメーカー

そして、ソーセージのことを気軽にしゃべれる場が欲しいと思い、noteを開設する。

「X(Twitter)だと、どうしても他人の意見も目に入っちゃうので、自分だけの意見をポッと書けるところがあればいいなと思って書き始めました」

30歳を前にドイツに住むことを決意

ソーセージ姉さんは、その思いが実って現在はドイツに住んでいる。昨年から直近までの1年間はワーキングホリデーの制度を利用して、その後、職業訓練制度用のビザに乗り換えた。ドイツには3年ほど暮らす予定とのことだが、旅行ではなく、暮らそうと決めた理由を聞いた。

「ソーセージ作りを始めた当初は、全くそんなことを考えていませんでした。そもそも海外にも行ったことがなかったどころか、地元を出て一人暮らしをしたこともなかったので。ただ、ソーセージ作りをしていくなかで、なんかドイツってソーセージ有名だよな、いつか行くこともあるのかなって、少しずつドイツ語の勉強を始めたんです。

そしたら、気づかないうちに1〜2年続けていて、だんだんと“行きたいな”っていう思いが強くなっていったんです。ただ、せっかく2年も勉強したのに1週間の旅行だともったいない、ワーホリビザで行こうかなと。30歳までしか取得できないことを考えたら、ギリギリだったのもあって、今しかない! と思い切りました」

しかし、もともと人見知りなうえに、海外の人とコミュニケーションを取った経験もほとんどなかったというソーセージ姉さん。最初は“絶対無理”と思っていたのだそう。

「自分でも不思議なんですけど、ドイツ語を始めて2年目からオンラインのドイツ語教室に通い始めて、そのときの先生がドイツに住んでいて、ドイツの話を聞いているうちに、この先生がいるところなら私でもいけるかも、行ってみたいな、と思うようになったんです」