浜中文一は“掴めそうで掴めない存在”
――では、共演者の方々の印象や稽古場でのエピソードを聞かせてください。
市川:まず今回のキャストのなかで唯一、過去に共演経験があるのが、キャロルの父のメルケット大佐を演じる渡辺いっけいさん。7年ぶりだし、さすがに覚えてくれていないと思ったんですけど、お会いしたときに「お久しぶりです、覚えていますか?」と聞いたら「もちろんですよ!」と言ってくださって、本当にうれしかったです! いっけいさんと親子役ができるのがありがたいです。
――親子役として稽古をしてみて、いかがですか?
市川:いっけいさんは本当に引き出しが多いです。稽古の序盤から、いろいろ仕掛けてくださるんですよ。急に今までとは全然違う大佐になったりして「そういうアプローチで来るんだ!」といつも驚かされます。学べるところはちゃんと学ぼう、と思いながら共演させてもらっています。
――婚約者のブリンズリーを演じる浜中さんの印象は?
市川:ブリンズリーとキャロルは婚約者同士ですし、お芝居のなかでも連係プレーをしなきゃいけないので、普段からコミュニケーションを取るように心掛けています。というのも、最初はお互いぎこちなくて、動きが恋人同士に見えなかったんです。だから、距離を詰めなきゃと思ったんですけど、浜中さんのことをいろいろ調べたら「極度の人見知り」って書かれていて(笑)。
でも、関西人だけあってシュールなボケを挟んできますし、稽古でも面白いことを仕掛けてくるので、不思議な方だなぁという印象です。“掴めそうで掴めない存在”みたいなところは、ブリンズリーそのままですね。
――稽古場では皆さんで仕掛け合っているんですね。
市川:ミス・ファーニヴァル役の朝海ひかるさんも、台本にないのに突然「うるさい!」とか言い出したりして面白いです。ちなみに、偶然タクシー乗り場にいる朝海さんを見つけてご挨拶したら、「一緒に乗ってく?」と言っていただきタクシーを相乗りしたこともあります(笑)。
――キャストの皆さんとの距離もどんどん縮まっている、と。
市川:はい。クレア役の三倉佳奈さんとハロルド・ゴリンジ役のシゲさん(山口森広)と三人でご飯にも行きました! でも、お芝居の話はせず、お二人の子どもの話をずっと聞いていたりと、いろんな方とコミュニケーションを取り、打ち解けていっています。
あと、シゲさんはいつも汗だくなんですよ。稽古でも汗だくだし、なんなら駅から稽古場に歩いてくる段階で汗だく! なので、浜中さんと私でミニ扇風機を使ってシゲさんに風を送っていたら、突然“美容院でドライヤーで髪を乾かしている”みたいなアドリブミニコントが始まったりして(笑)。
――すごく楽しそうな稽古場ですね!
市川:はい、本当に面白いです! 稽古でも、絶対笑っちゃいけないシーンなのに、つい笑っちゃう。そもそも、演出の大歳さんが一番笑っていますから! 本番では笑いを堪えなきゃいけないけど、今は楽しみながら稽古を進めています。