やっと見つけた「作字」という取り柄を伸ばしたい
しののめさんが作り出す文字は種類が豊富で、それぞれ全く異なった特徴を持っている。同じ人物が書いた文字とは思えないほどだ。作字はどのようにしているのだろうか?
「絶対に大事な要素をまず考えて、柱をドーンと決めちゃうんです。その柱を守って書けば、ひらがなでもカタカナでも漢字でも、文字に統一性が出るんですよね。その統一性が一番大事だと思ってます。
例えば、自分の本の告知で書いた『デザイン』という文字だと、“丸まってるところは丸の要素を入れよう”とか、“上がるときは右上がりにしよう”みたいに、細かい柱を決めているだけなんですが、そうすると文字に統一性が出てくるんです。
それから、自分の中でキャラクターを決めてデザインすることもあります。真面目っぽい、チャラそう、ギャルみたいに、キャラを乗り移らせてるような感覚で書いてます。その文字を書きそうな人格を演じながら書くみたいな感じです。
文字を書くときは、紙を見て、だいたいの見当をつけて、頭の中で細かい配置を組み立ててから、そのままそれを紙に写すって感じなんです。下書きは頭の中にあるからいいかなって……というか面倒くさがりなだけです(笑)。
文字ができたときは、とにかくワクワクが止まらなくて、すぐにもっと書きたいという気持ちになりますね。自分が作字した文字で“この言葉を書きたい”とか、“こういうコンセプトで作字したい”っていうのが、どんどん広がっていくんです、それが楽しくて!」
しののめさんの作字のもう一つの特徴は、すべて手書きであるということだ。なぜ手書きなのか、そのこだわりを聞いた。
「自分だからできることを極めたいっていう気持ちはすごくあります。自分は自己肯定感が低くて、“何も取り柄がない”と思っていたんです。やっと見つけた作字という取り柄を、どんどん伸ばしたいっていう気持ちで手書きを続けています。
それと、手書き看板の手書きとは思えないくらいの精巧な字にすごく惹かれるんです。それくらい高いレベルのものを作りたいという願望もあるので、それが手書きにこだわってる理由だと思います」
最後に、今後どんなことをやってみたいか野望を聞いてみた。
「昔からVTuberさんがすごく好きなので、VTuberの方とお仕事をしてみたいです。そういう意味では、すでに夢をかなえたんですけど、ぽこピーさんとお仕事できたのはとっても嬉しかったですね。
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それから、MVのリリックデザインとかもやってみたいです。音楽も好きなので、ライブとかで人の心を動かせるっていうことに憧れがあるんです。音楽と一緒に自分の文字が活かせたら……自分の文字で人の心を動かすこともできたらなんて、厚かましいですけど。
かねこあみさんが以前、にじさんじさんのライブで、本人の周りに文字が出てくるっていう演出をされていて。そんなことが自分の文字でできたら最高ですね。いつかやります! 頑張ります!」
(取材:山崎淳)