X(旧Twitter)で「ねこ」と、その従順なしもべとなっている飼い主「しもべ」との日常を漫画で記して、数々の“ネコハラ”が共感を集めているアカウント『ねことしもべ』。そのイラストを描いているのが、イラストレーターのHanaさんだ。
こだわりを英語にするとSticking(スティッキング)。創作におけるスティッキングな部分を、新進気鋭のイラストレーターに聞いていく「イラストレーターのMy Sticking」。今回は『ねことしもべ』の作者・Hanaさんに、アカウントを作ったきっかけや、ねことの生活についてなどを聞いてみました。
ほめられたくて絵を描き始めた
Hanaさんは現在、『ねことしもべ』の活動を中心に、イラストやデザイン、ショートアニメの制作などをおこなっている。子どもの頃から絵を描くのは好きだったが、そのきっかけになったのは両親から描いた絵をほめられたことだったそうだ。
「外でも遊んでましたが、家ではずっと絵を描いてる子どもでした。最初に絵を描き始めるきっかけになったのが、お祭りでもらってきたキャラクターの風船人形を模写したときに、両親にほめられたんです。それからは、ほめられたいから絵を描く、みたいな感じでした。
動物が好きだったので、動物の模写をしたり、動物モチーフのオリジナルキャラクターを自分で作ったりしてました。小学生の頃は、絵画コンクールで賞をもらったりもしました」
「ほめられる」をきっかけに、絵を描くことにのめり込んでいったHanaさん。学生時代は美術部に入って絵を描いていた。
「高校のときは、陸上部と美術部に入って兼部してたんですけど、絵画コンクールに向けて絵を描かないといけない期間は、陸上部を休んで絵を描いていました。そのときに両立は難しいと感じたこと、そして“絵を描くほうが楽しいな”と思って、陸上をやめて絵に集中することにしました」
その後、大学は芸術大学のデザイン科に進学。絵を描き続ける道を選んだ。その頃から、ねこをモチーフにしたキャラクターを作っていたそうだ。
「大学でデザインの仕事を学びながら、ねこのキャラクターグッズを自分で作ってイベントに出したりしてました。今の『ねことしもべ』とは別物で『ゆるcats』というキャラクターです。LINEスタンプもあって今でも買えるんですが、『ねことしもべ』の面影はあるかもしれないですね。
当時は、現在とは別のねこを飼っていて、そのねこをモデルにキャラクターを作りました。ねこをモデルにしたのは描きやすいのと、飼ってるねこを自慢したいという気持ちがあったからです。『ねことしもべ』でも、それは変わってないです(笑)」
イラストだけを描きたくて会社を辞めた
大学を卒業して、映像会社に就職したというHanaさん。この時点では絵を仕事にしようとは思わなかったのだろうか?
「絵で食べていけると思ってなかったんです。なので、地元の映像会社に就職して、5年勤めました。CMとか番組を作る部署で、企画の立ち上げから絵コンテの作成、撮影・編集までいろいろやる部署だったんですけど、ちょっと苦手だなって感じることが多かったです。
特に現場を仕切ったりするのが苦手で……。
番組のロゴやアニメーションCMを作る機会もあったので、イラストを描かせてもらったりすると、やっぱり“イラストだけを描きたいな”と感じて会社を辞めました。いろいろやらせてもらって、“イラスト描いてるときが一番楽しいな”と思ったんです」
思い切って会社を辞めたHanaさん。それからは、イラストやデザインの会社に就職はせず、そのままフリーのイラストレーターとして活動を始めた。会社にいた頃にイラストの活動をしていたわけではなく、本当になんの当てもなかったそうだ。
「何も考えてませんでした。貯金もあったので、1年くらいは実家でゆっくり過ごそうという気持ちで辞めました。貯金がなくなったらバイトしようかな、くらいの気楽な気持ちで。“イラストレーターとして食っていくぞ”っていう気持ちは、そこまで強くはなかったかもしれないです。
仕事を辞めたのが2023年の1月頃で、仕事を辞めたタイミングで実家に戻って、3か月くらいウダウダしてて、5月くらいに『ねことしもべ』を描き始めました。その頃から在宅で仕事をするようになって、ねことの距離が一気に縮まったんです。仕事中も邪魔されたりすることが多くなって、しもべとしての自覚が芽生え始めました(笑)」