プレミアリーグは「BIG6時代」に突入
そして、チームの心臓といえるセスクをバルセロナに放出したのが2011年。その翌シーズンからプレミアリーグには二強を破る新たな風が吹き荒れます。
アーセナル旋風!!……ではないんです。これが。ちなみにリヴァプールでもありません。この時期オーナーが代わり、大金を投じて大型補強を敢行したマンチェスター・シティがリーグの覇権を取るのです。ここからプレミアリーグはチェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティが三つ巴で優勝を争う時代に突入します。
ちなみに、この年の選手名鑑に記載されているアーセナルの選手で、代表歴がなく世代別代表でもない選手は3人だけなんですが、そのうちの1人、セスクと入れ替わるように新加入した30歳のスペイン人が、のちのチームに大きな影響を与えることは知るよしもありません。
このあとも悲願の優勝から遠ざかるアーセナル。エジルやカソルラ、下部組織出身のウィルシャーみたいな魅力的な選手もいたんですけどね。他が強すぎて優勝は遠く、重ね重ね言うけど、優勝できそうになると怪我人が出るんだ……。
しかし、フットボールとは面白いもので、プレミアの上位3チームが、いやアーセナルと同じような立ち位置だったリヴァプール含む4チームが総崩れしたシーズンがあったのです。
千載一遇!!! 大チャンス!!! ここを逃したらいつ優勝するんだ!!! そんな15-16シーズン!! アーセナルは、一度は首位に立ちながらも、降格候補筆頭と呼ばれながら、まさかの快進撃を続け、『ミラクルレスター』と称されたレスターに優勝を持っていかれるのです。ここを逃したらいつ優勝できるんだよ!!!!
という思いもありましたが、僕は岡崎慎司選手の大リスペクトプレーヤーだったので、感動のほうが大きかったです。
しかし、アーセナルサポーターの落胆は大きかったようで、11年ぶりの2位という成績も高揚感があるものではなかったようです。また、アーセナルの優勝を遠ざける新たな存在の足音が背後にひたひたと迫っていました。
翌シーズン、チームはヴェンゲル監督就任以来、22年の長期政権でワーストとなる6位に。長きに渡ったヴェンゲルの時代は、こうして有終の美を飾ることなく終わりを告げました。そして、このシーズン、ついに背後に迫っていた存在に追い越されることになります。
まず、アーセナルと同じように、「強いっちゃ強いけど優勝は遠いだろうな」的なチームだったリヴァプールが、クロップ政権2年目のリヴァプールが、ゲーゲンプレスでプレミアリーグで革命を起こし4位に。
「急に優勝できそうなチームになるなよ!! アーセナルを置いてかないで!!」と言うアーセナルサポの阿鼻叫喚が聞こえてきそうでしたが、そんなことより!!!
そのひとつ上、3位につけたのは、前年も3位でアーセナルに迫っていた永遠の天敵。同じノース・ロンドンを本拠地として忌み嫌うトッテナム・ホットスパーでした。本当に屈辱的なシーズンであったと、想像に難しくありません。
ケインにデレ・アリ、ソン・フンミンと多士済々を率いた名将ポチェッティーノのチームは、翌シーズンにはCL決勝進出。
アーセナルが優勝を逃し続けているあいだに、プレミアリーグはBIG6と呼ばれる6強が鎬を削る群雄割拠の大激戦区になってしまいました。ずっと停滞していたら、周りの環境がとんでもないことになっていたアーセナル。
ここまでは苦節の歴史でしたが、ここからアーセナルはどう生まれ変わるのか!?
……それは、次週!!!