宿敵マンチェスター・シティの牙城を崩せるか

22-23シーズン。この20年間の苦労がやっと実を結び始める予感がしてきました。この辺から僕はちゃんとアーセナルを追っています。だってロマンがあるんだもん。

レアルやシティの中心にいるような、素材の味だけで超一流の選手たちほどではないけど、一流シェフが腕を振るえば超高級食材にも劣らない選手が揃ったアーセナル。こういうメンバーが躍動して快進撃を繰り広げるほうが、ファン心をくすぐるんだなぁ、これが。

そして、上記の選手たちが美しいサッカーを繰り広げるなかで中盤で大活躍したのが、在籍7年目の当時30歳、ジャカでした。

古株で、退場やサポーターとのトラブルなどがちょこちょこあり、お別れも近いかと思われていたジャカは、アルテタの元で新たな役割を見出されると、持ち前のファイティングスピリットで美しいチームを闘う集団に仕立て、さらにテクニシャンたちとのポゼッションフットボールにも難なく適応。キャリアハイの7アシスト7ゴールを記録!!   アーセナル歴7年は伊達じゃないぜ。ロマン!!

そして、チームは2位でフィニッシュ!! たらればだけど、サリバの負傷離脱さえなければ……。ただ、優勝こそできなかったけど2位になるのは、このコラム前編の冒頭、04-05シーズン以来、実に18年ぶり!!

優勝を目指せる陣容がついに整いました!!! そして翌23-24シーズン、アーセナルはクラブ史上最多の28勝! リーグ最少の29失点を記録します!! ライバルがマンチェスター・ユナイテッドだけだった無敗優勝時代と違ってBIG6がいる今のプレミアで、これは凄まじい記録です!!

しかも対BIG6戦は無敗!! 昔の上手いけど脆かったアーセナルはもうどこにもいません!!

そしてこのシーズン、アーセナルは……2位でフィニッシュ!!

そうです。プレミアリーグにはラスボスがいるのです。BIG6のなかでも別格の巨大さ。サッカー史上最も優勝争いが苛烈なプレミアリーグにおいて、ここ7シーズンで6回優勝。昨季のCLでは優勝したレアル・マドリードにすらドン引きのリトリートサッカーを展開させていました。レアルがあんなサッカーをチョイスした試合、ここ20年見たことなかったんですよ。

アーセナルのラスボスはそれほどまでに強い、サッカー界最強に君臨するマンチェスター・シティです。

これを倒さねば、プレミア優勝は成し遂げられない。なんせ昨シーズンは、怪我でデ・ブライネを半分欠いた状態で上位に留まると、デ・ブライネ復帰後は15勝3分。最後は2位で「一度でも取りこぼしてみろ! 追い抜いてやるぜ!!」と猛烈に追走するアーセナルを、驚異の9連勝でかわしきり4連覇を達成したのです。

クロップのリヴァプールですら、一度しか果たせなかったリーグでのシティ喰い。これに挑む今季のアーセナル!! そしてそれを全試合、追っかけようと心に決めた僕の旅が始まりました!!

シティが強すぎるため、スタートダッシュを失敗すれば優勝の可能性がほぼ潰えるプレミアにおいて、アーセナルはスタートダッシュに成功!!

しかし、全勝同士で迎えた3節のブライトン戦を、チームの主軸デクラン・ライスの退場もあり引き分けると、次は絶対に負けられない戦い、宿敵スパーズとのノースロンドンダービーでした!!

さて、先週おこなわれたノース・ロンドンダービー!!

「ライス不在かぁ」なんて言っていたら直前の代表ウィークで、ウーデゴールが、そしてカラフィオーリが負傷してチームに帰還。

さらにはミケル・メリーノやジェズス、冨安選手も負傷というアーセナル伝統とも言える怪我人続出の逆境で迎える形になってしまいました。

プライドの面でも優勝を目指すためにも、絶対に負けられないこの一戦。アーセナルは粘り強く戦いました!! 長年、美しいサッカーで翻弄してきたノース・ロンドンのライバルにボールを握られチャンスを作られますが、耐えます。そして、セットプレー一撃!! ガブリエルが仕留めて勝ち切ったのです!!

こういうゲームで、こういう勝ち切り方……アーセナル、本当に強くなった……。

〇【ショートハイライト|トッテナム v アーセナル】プレミアリーグ24/25 第4節

この20年のほとんどをサポーターとしてではなく、俯瞰で見ていた僕でも思うくらい、アーセナルは逞しくなっていました。美しいフットボールではなかったかもしれないけど、強く心を打ちました。

長いシーズンで、こういう内容的に難しいながらも勝ち点を集める試合というのは、優勝を目指すうえで本当に大切になってくると聞きます。そしてアーセナルはそれができるチームになっていったのです!!

さて、アーセナルの戦いはまだまだ続きます!!

翌週ミッドウィークのCLで、サカとジェズスは出場、カラフィオーリもベンチに帰ってきていたので状況は好転して迎えた昨日、中2日の9月22日には今季最大の正念場!! 正念場多いって!!

相手は案の定、ここまでリーグ戦全勝のマンチェスター・シティ!!

天王山! 6ポイントマッチ!! 負けたら優勝だいぶ遠のく!! なんせシティなんて直接対決で倒さないと、ほぼほぼ勝ち点を落とさない!! ラスボス中のラスボス!!!

いやぁ。締切なんかとっくに過ぎてる今、加筆してますが、壮絶な試合でした。まだ結果知らない方は、ここから先は読まずに見てほしい!!

デブルイネは欠場したものの、ロドリが復帰したシティはめちゃくちゃ強い!! そのポゼッションはまだまだアーセナルの一枚上手をいっています。デ・ブライネ抜きでこれかよ。

そして、新加入のサヴィーニョの鮮やかカットインから、今季5試合10得点と異常な成績を残す傑物ハーランドにゴールを破られます。

しかし、何度も書きましたが、今のアーセナルは真の意味で『強い』んです。シティのロドリが負傷退場すると、その直後、リスタートで相手の隙をつくと、最後は新加入のカラフィオーリがスーパーゴール!!

さらにロドリを失って、リズムも失ったシティと五分五分以上で渡り合うと、またまたセットプレーからガブリエウ!!! 試合巧者の勝ち方ぁ!!!!

と、ここで終わらないのが、サッカーの難しいところ。前半終了間際にアーセナルのトロサールが不運な形で退場。後半はドン引き以外の選択肢がない状況に。

5-4-0のゼロトップで猛攻を凌ぐと、途中からは6-3-0の布陣でペナルティエリアに引きこもって耐える。シティ相手に数的不利は、もうそれしかないのです。ハーフコートどころかピッチの1/4のエリアに、両チームのフィールドプレーヤーが集結する一方的な展開。

なんせカウンターに討って出ようにも、相手の後ろに残ってるのがウォーカー、アカンジ、グバルディオルとスピード鬼のDFたち。いくら時計を見ても1~2分しか進んでないような過酷なサンドバッグ状態で耐え続けました。

スローモーションで時間は進み、ついに90分が経過。アディショナルタイムは7分。そして、その7分が経過。あとワンプレーというシティのコーナーキック。

ストーンズのゴールで、ついにアーセナルの牙城が崩れました。ここで勝ち点3、本当に欲しかった。あとワンプレーだった。でも逆にここまで凌いできたのも、とんでもなくすごいことです。今季のアーセナルは本当に強いと思える一戦でした。

このまま全試合応援してたら、きっと最後に素晴らしい景色が見れる。そう確信した一戦でした!!

〇【ショートハイライト|マンチェスター・C v アーセナル】プレミアリーグ24/25 第5節

次回の『カカロニ・すがやの“熱”Football Watch!』は、9月30日(月)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
カカロニ・すがや
1991年3月5日生まれ。O型。東京都出身。2016年、現在の相方である栗谷とカカロニを結成。グレープカンパニー所属のお笑いコンビとして活動中。趣味はサッカー(サッカー歴15年・ブラジル・ロシア・カタールW杯を現地観戦)、深夜ラジオ(元ハガキ職人)。特技はサッカーとくりぃむしちゅー上田さんの例えツッコミを暗記すること。Twitter:@sugayazinho instagram:sugayazinho