ミシンを動かしたい! そこに理由はなにもない
書籍『コカドとミシン』のポイントは、「コカドの純度が高い」ことだ。
「僕と関係があって、僕の好きなものや好きな場所がたくさん詰まっています。表紙は自宅がいいなと思って、いつも作業している感じで撮ってもらいました。
ほかにも、自分が持っている古着とミシンで作ったものを合わせたいとか、僕が好きな60年代くらいのアメリカの世界観の場所で撮りたいとか、自分が何年も通っている焼肉屋さん『城西苑』で写真を撮りたいとか…。わざわざ別日で、撮影日を押さえてもらいましたね」
どんな時にミシンで作品を作りたいと思うかを尋ねると、想定外な回答が。それは、質問が野暮に思えるほど、ミシンに夢中になっている様子が伝わるものだった。
「まず、ミシンを動かしたいんですよね。ミシンを動かしたいから、そのために何を作ろうかなと考える。ミシンでダダダダと縫っていくこと自体が好きですし、そこには理由がなんもない。そのうえで、“これまで作ったことないものにチャレンジしてみようかな”とか、誰かの誕生日が近ければ、“その人が欲しがっているものを作ろうかな”とか、その順番です」
作っては贈ることを楽しみ、 もう手元にない物もたくさんあるというが、なかでも愛用しているのは「コカド トートバッグBIG〔Yellow〕」だという。取材時にも実際に使っていて、手に取って説明してくれた。
「よく使ってるのは、このトートバッグかな。本にも載せているんですけど、バージョンがいくつかあって、これは2023年バージョンですね。外側にポケットが付いていて、大きさもちょうどいいんです。
初期型はファスナー付きの蓋はなかったんですけど、芸人の後輩にあげたら、“電車に乗っている時、財布を入れるのが怖い”って言われて。だから内ポケットをつけたり、蓋を付けたり、だんだんと改良されていっています」
オカダヤに行ったらめっちゃワクワク!
取材時に着てきてくれた黒チェックの長袖シャツとコーデュロイパンツもコカドが作ったもの。制作にはどれくらい時間がかかるのだろう。
「初めて作るものは、やっぱり時間がかかりますね。どうやって作るかのベースがないからです。たとえば、今履いているこのパンツとかやったら、もう何本も作っているから、1日もあれば作れますけど。
いま着ているこのチェックシャツは、空いた時間を使ってちょこちょこ進めたので、1週間くらいかかったかな。初めての長袖やったんですけど、袖口のカフスもわけわからへんくて。初めてのやつは時間がかかるし、慣れるまでが大変だけど、1回できればそのあとは早いですね」
手芸といえば、ミシン以外にも編み物や手縫い、パンチニードル、ビーズアクセサリー作りなど多種多様なものがある。ミシン以外に気になっているものはあるのだろうか。
「オカダヤさんとかに行ったら、めっちゃワクワクしますよ。階ごとにジャンルが分かれていますが、僕が行きたい生地を売っている階に行くまでに、いろいろあるんですよ。だから、見てはいるんですけどね。
でも今はミシンでやりたいことがいっぱいあるからな。一通りやり終えたら、ニットのセーターとかも作ってみたいですね」
(取材:吉田 真琴)
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