おはようごさいますこんにちはこんばんは、番組プロデューサーのTPこと高橋です。「TPコーポレーション東京X」という変な名前の会社の社長です。

『M-1グランプリ2024』の決勝戦が12月22日に行われ、令和ロマンが10330組の頂点に立ち、大会史上初の2連覇を果たしました。三度の飯よりM-1が好きな僕は、今年のM-1決勝当日も、敗者復活戦の直前配信から決勝戦後の打ち上げ配信までの長丁場を、三度の飯を食べながら観戦しました。

僕はこの連載のおかげで、M-1準決勝会場に潜入してレポート記事を書かせてもらえたので、責任を持って今回の決勝戦のあれこれも記しておきたいと思います。「神がかってる笑神籤」「バッテリィズの躍進」「真空ジェシカ最強の2本目」あたりのメイントピックは、僕が偉そうに書くのは恐れ多いので、居酒屋でたくさん話すことにします。僕なりの目線での振り返りをぜひお読みください。

令和ロマンは凄い!!

初手、いきなり“僕なりの目線”でもなんでもなくて恥ずかしい。ジョックロック福本さんに「切り口が普通すぎるー!」と言われそうだが、王者に最大限の敬意を払いたいし、避けては通れないほど圧巻の優勝だった。

以前、“令和ロマン2人の敬称をどうするか問題”を、放送作家の飯塚大悟さんと話したことがある。年齢的にも業界歴的にも2人のほうが下だけど、“M-1王者”というお笑いヒエラルキーの最上位者である揺るぎない事実に、僕はひれ伏すしかないと思っている。彼らに捕食されるなら本望だ。

しかも“お互いに面識はあるけど仲良くはない”という微妙な距離感も相まって、“くるまくん”だと慣れ慣れしすぎるし、“くるまさん”だと逆にへりくだりすぎて嫌味っぽく聞こえる…どうしたもんかいのう、という中でたどり着いた敬称が“くるま氏”だ。いい感じの距離は保ちつつ、敬意も払えてとても良い。これはもちろんケムリ氏も同様だ。そんなわけで僕はこの後2人に“氏”をつけます。

11月、僕がプロデューサーを務める『永田敬介の絶望ラジオ(stand.fm)』のイベントに、くるま氏がゲスト出演してくれた。そのイベント後の永田敬介くん(同じお笑いサークルの後輩なので「くん」呼び)がくるま氏に対して「言葉の出力スピードがChat GPTだった」と感心していたのがとても印象的だった。とにかく頭の回転が早すぎると。もうこの記事が出る頃には語られているかもしれないが、今回のM-1も、当日何を考えて、どのような策を講じて優勝したのかとても気になるところだ。

もちろん言葉の出力スピードが早いのはくるま氏だけじゃない。以前『令和ロマンのオールナイトニッポンPodcast』(ニッポン放送)で、くるま氏が話の流れで「百田尚樹さん(作家)にラジオをやってもらいたい」と発言したことがあった。それに対してケムリ氏が間髪入れずに「百田尚樹のオールナイトニッポン永遠の0だね」と返したのが面白すぎて、今でも鮮明に覚えている。番組名と百田さんの著書が完璧にかかっているクリティカルな切り返し、その瞬間的なワードセンスにド肝を抜かれた。令和ロマンは両者ともにChat GPT並みの処理速度にセンスが掛け合わさったバケモノなのだ。

他方、今大会の『打ち上げ生配信』でMCの渋谷凪咲さんが「芸人じゃない自分がこの場にいていいのか」と困惑の言葉を口にするシーンがあった。そこですかさずくるま氏が「面白いから悩んじゃうんだと思いますよ」とフォローしていた。

渋谷さん自身がバラエティ力もあり芸人さんにリスペクトを持っているからこそ、『M-1直後の打ち上げ』という“芸人さんだけのサンクチュアリに入り込むためらい”というのを一瞬で察知して最小文字数に詰め込み寄り添っていた。令和ロマンが単なるお笑いサイボーグではなく、人間としての器の大きさも見せつけた瞬間だった。

僕もちょっと前に、そんな令和ロマンに近づこうと2人の真似をしたことがある。くるま氏が「2人のリズムを合わせるために歩きながらネタ合わせをしている」という話を耳にしたので、それを見習って僕も社員とのリズムを合わせるべく、桜井さん(新入社員)と歩きながらミーティングをしてみた。しかし、資料を確認したりメモをとるためにいちいち立ち止まらなければならず、リズムも掴めないし、打合せも全然捗らなかったので1回で辞めた。弊社は令和ロマンになれそうもない。

最後に僕のM-1グランプリ2022の感想ポストを貼っておく。2年前はまだ令和ロマンがお茶の間にとっての『無名枠』だったと思うと感慨深い。ここからまさかM-1を連覇することになるとは…変なことを書いてなくて本当に良かった。とにかく連覇おめでとうございます。