おはようごさいますこんにちはこんばんは、番組プロデューサーのTPこと高橋です。「TPコーポレーション東京X」という変な名前の会社の社長です。

弊社は『金属バット無問題』を始め、お笑い芸人さんのコンテンツを数多く制作させてもらっているんですが、それはひとえに僕が「お笑い好き」だからにほかなりません。

どれくらい好きかというと、漫才の日本一を決める大会「M-1グランプリ」は、3回戦に進出した約300組のネタを、YouTubeで全部チェックしてしまうくらい好きです。

とはいえ、この連載は僕が日々仕事の中で気付いたことや反省などを日記形式で紹介するコンセプトで書かせてもらっているので、先日行われた「M-1グランプリ2024」準々決勝の、全組レポをする場所ではないことは承知しております。ネコニスズやラパルフェのことはいったん置いておいて、今回は「M-1グランプリ2024準決勝進出メンバー」の中で、僕が関わりのある人たちを数組ピックアップして、彼らから学んだことを書いていきたいと思います。

ビジネスにおいても、十分に役立つことだと思うので、お笑い好きじゃない方も、ぜひお付き合いください。

「フースーヤ」ピュアな心は人を感動させる

「ギャグまみれ」の漫才をする唯一無二の二人は、「M-1グランプリ2023」で準決勝進出の大躍進を果たし、今年は「第54回NHK上方漫才コンテスト」で優勝するなど、勢いに乗っていて、悲願の決勝進出へ大いに期待がかかっている。

そんなフースーヤと僕の縁はというと、僕がテレビ朝日の局員時代の2022年4月に、おそらく2人にとっては初(?)の冠番組である『フースーヤもういっちょ』という、CS放送のミニ特番を企画&演出させてもらったことだ。

お会いしたのは、後にも先にもその収録の1回だけなのだが、なかなかに強烈だった。ギャグ満載で、抱腹絶倒の収録は言わずもがな、僕が印象に残っているのは、二人の打ち上げでの振る舞いだ。

なんてことない中華料理店で打ち上げをしていたのだが、田中ショータイムさん(背が高くて赤い服の方)が、急にガチ泣きし始めたのだ。急も急、1秒前まで笑ってたのに。

そんなに収録がキツかったのかなと思って、僕が「どうしたんすか?」と聞くと、

「収録も楽しくて、スタッフさんもいい人で、ごはんもおいしくて、天気も良くて、本当に幸せを感じてしまって……うぇーーーん!!」

とのことだった。その当時、まだそこまで売れていない自分たちに優しくしてくれたことへの感謝が溢れてしまったそうだ。それを見ていた相方の谷口さんは、

「こいつ、いっつもこうなんすよ」

と言っていた。いっつも!? さすがに感受性が豊かすぎる。

天気が良いのは関係ないだろ、と思いつつ、そのあまりのピュアさに「またいつか絶対仕事したい」と思ったし、「打ち上げでおいしいものを食べてもらいたい」と思った。

僕もピュアな気持ちを忘れず、ポジティブな気持ちや感謝は、なるべく口に出して、自分もまわりも、幸せな気持ちにさせられる人になりたいと思った、よいしょーっ!!

▲フースーヤの田中ショータイムさんと谷口 理さん

※『フースーヤもういっちょ』は、ギャグをやりすぎて企画まで進めなかったので、1回で打ち切りになりました。

「ナイチンゲールダンス」代役で結果を出すと次につながる

『ツギクル芸人グランプリ2023』優勝、そして冠番組『ナイチン街レトロ』(テレビ朝日)スタートなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの二人。僕は現在ヤスさんとは『かぶさんラジオ』というラジオ番組でご一緒させてもらっているのだが、ナイチン二人との思い出は数年前の正月に遡る。

その年、僕が演出を担当した『SHOWROOM』という、ライブ配信サービスの特番で、MCをする予定だった芸人さんが急に出演できなくなり、代役として、当時まだ今ほど人気のなかった、ナイチンゲールダンスがMCを担当することになったのだ。

正直、僕は代役がナイチンだと聞いたとき「嫌だなぁ」と思った。一緒に仕事をしたことがなかった僕は「トガッている人たち」「ヒカキンの顔マネが面白い(なかるてぃんさん)」しかイメージを持っていなかったからだ。

しかし、いざ本番になると、二人は初対面のクセありライバーさんたちと、全力でトークや企画をしてくれて、嫌な顔ひとつ見せず場を盛り上げてくれ、約8時間に及ぶ特番は大成功に終わった。

文字に書いても伝わらないが「臼と杵を1から作って餅つきをしよう」という、だいぶ雑な企画にも、率先して参加してくれて、みんなでおいしい餅を食べたのはいい思い出だ。なかるてぃんさんは、僕の“ヒカキンの顔マネして”というカンペにも、毎回応えてくれた。

正直、芸人やお笑いファンが1人もいない環境だったので、いくらでも手を抜くことはできたはずなのに、番組をより良くしようと全力を尽くしてくれたことが、嬉しくてたまらなかった。そんなのは「プロとして当たり前」と言われるかもしれないけど、とても大変なことだと思う。

結果、ナイチンゲールダンスは今でも『ナイチンゲールクイズナイト』という特番をやったり、SHOWROOMにかなり重宝されている。

芸人さんが新しい仕事を得るのは主に「オーディション」「コネ」「代役」という3つのきっかけがある。賞レース含めオーディションは大変だし、コネはお笑い以外の能力が必要になる。

その点「代役」は、きっちり結果を出すと、だいぶ「次」につながるんだな、ということを二人の活躍を見て強く思った。僕も、もし誰かの代役仕事がきたら、2人を見習って、全力で結果を出しにいきたいと思うし、言われればヒカキンの顔マネもやりたいと思う。はい頑張ってー。

▲中野なかるてぃんさんの、ヒカキンの顔マネの写真がありました。