窮地を救った『知られざる実力者たち』の煌めき

マリーゴールドが旗揚げするとき、いくつかの不安があった。まずひとつはここまでプロレスと関連性の低い団体名が浸透するのか、ということ。これは意外性の勝利で、びっくりするほどすんなりとプロレスファンに受け入れられた。

もうひとつは人材不足。当初の旗揚げメンバーはスターダムから離れた選手を中心とした7人。しかもエース格のジュリアは近日中に日本を離れることが確定していた。6人ではいくらなんでも厳しい。変な話、全員がチャンピオンになってしまうし(旗揚げの段階で4つの王座創設がアナウンスされていた)、ひとつの興行で2〜3試合しか組めない。

そんな窮地を救ったのは、大挙して参戦表明をしたアクトレスガールズからの移籍組だった。アクトレスガールズは我々から見たら、しっかりとしたプロレスをやっていたのだが、あくまでもリングを舞台とした新しいエンターテインメントであり、断じてプロレスではない、と正式に団体側が声明を出したことでプロレスマスコミは当然のことながら彼女たちの存在を黙殺。日々の活動が広くプロレスファンに発信されることはなくなり、いつしか知る人ぞ知るレアな存在になっていった。

それがマリーゴールド旗揚げではプラスに転換した。地道に活動を続けてきたアクトレスガールズ勢は、しっかりとしたプロレスができる。だが、観客のほとんどが旗揚げ戦で彼女たちをはじめて目撃することになるから、すべての動きに驚き、驚異のニューカマーとして受け入れられた。

そもそも、アクトレスガールズは女優やタレントからの転身組や兼任組がメインだから、とにかくルックスがいい。そして水着撮影にも慣れている。もっといえば芸能界を経験してきているからかメディアへの取材対応が素晴らしい。ファンの支持率が高まれば、彼女たちの露出が増えるのは当然のこと。今回の水着撮りおろしメンバーの約半数がアクトレスガールズからの移籍組となったのは、ある意味、必然でもある。

女子プロレスにあまり興味がない、という方にも「今、こんなに綺麗でスタイルがいい女性がプロレスのリングで闘っている」と知っていただきたいし、そのためにもぜひこの本を手にとってもらいたい。

とにかくリング上の流れが速く、本を作っているあいだにもどんどん参戦選手が増えていくので、台割りを何度も調整したり、試合会場でインタビューを補完するためのコメントをとったりして、ギリギリまでてんやわんやだったが、これも会場に足繁く取材に通っていたからこそできた作業。半ば強引に12.4新宿大会で起こったことまでは誌面に反映させたので、2024年にマリーゴールドのリングで起きたことが「ほぼすべて」詰まっていて(まさかデビューが決まっていなかった轟さんがあんなことになるとは!)、すべての選手たちが2024年を振り返りつつ、2025年の展望をインタビューで語る、という今年の公式ファンブックとしては過不足ない内容になった、と自負している。

アイドル雑誌では定番の選手たちがお互いを撮りあったオフショットをがっつり8ページを割いて、大量に掲載(ある意味、すべてがお宝写真だ!)。そして「デビュー5戦目でタッグ王座奪取した現役女子高生」として話題のゴールデンルーキー・山岡聖怜も参戦した若手選手たちによるお料理バトルなど企画モノも充実。

さらにはページを開くと、そのわけのわからなさに一瞬、絶句すること必至なのが「全選手の手相占い」。ひたすら手の写真が載っているだけのページなのだが、ほぼすべての選手が「無料で手相をみてもらえるなんて!」と大喜び(大怪獣・ボジラだけは本当にその意味がわかって手相を撮影していたのかが不明……)。占いも忖度なしで(占い師にはどの選手の写真なのかを教えていない)、かなり突っこんだことまで言及しているので、ぜひご一読を。

この本の発売を記念して、1月30日(木)には神保町・書泉グランデにてお渡し会の開催も決定。表紙を飾っている林下詩美と天麗皇希に加えて、新UNチャンピオンの桜井麻衣、そして青野未来の参加も決まった。というのも、書泉グランデと書泉ブックタワー限定で桜井麻衣&青野未来バージョンの限定表紙がリリースされているため(書泉オンラインショップでも購入可能!)。表紙を飾った4選手と一緒に、2025年の夢を目撃していただきたい。マリーゴールドの衝撃はまだまだ続く!

(文:小島 和宏)

 

「マリーゴールド公式ファンブック」刊行記念イベント
【開催情報】
開催場所:書泉グランデ(神保町)7F
住所:東京都千代田区神田神保町1-3-2
開催日時:2025年1月30日(木)18:30~
詳細は下記URLよりご確認ください。
https://www.shosen.co.jp/event/28105/