尖りまくった音楽性とジャンルも国境も超えた独自の活動スタンスで、楽曲派アイドルのトップグループとなったSITUASION。そのオリジナルメンバーである西野愛望がこの8月4日に卒業する。圧倒的パフォーマンススキルとブッ飛んだキャラクターで、彼女を知る誰もが“天才!”と絶賛せずにはいられないほどのアイドルが、メディア上で確かな記録がないまま去っていくのは惜しすぎる! そんな勝手な使命感から、前世グループのメガメガミ時代から何度も取材したライターが深掘りします。SITUASIONのスタートから現在までに至る後編!
“正統派でデビューします”って聞いてたんですけど!
――2020年7月にメガメガミが解散ライブを行って、同じ年の12月にSITUASIONが活動開始となります。メガメガミからかなりグループカラーは変わった印象でした。初期はクールで尖った感じというか。
西野:最初にヨロコビから来たLINEには、“正統派でデビューします”って書いてあって。
――マジですか(笑)? 少なくとも正統派アイドルでは全くない! いきなり暗黒舞踏みたいな振り付けでしたよ!
西野:LINEの履歴にちゃんと証拠が残ってますからね! メガミの解散からひと月くらい休んで、8月に杏優(あゆ)と私がヨロコビに喫茶店に呼ばれて、コンセプトの説明を受けて・・・。何かジョーキョーをコーチクする・・・? とか何とか。
――超哲学的なコンセプトですからね。勉強できない人には天敵な話!!
西野:私はずっとスルーしてクリームソーダ飲んでて。杏優はマジメだから色々質問してましたけど。最初に『最悪の状況』って曲があって、聞かされたけど意味わからん。ただその頃からもうヨロコビから“わからなくていい”って言われてたので。もう音程だけ覚えればいいやっていう。でもやる気はめっちゃあるんで、“分からないけどやります!”っていう。

――初期の頃は新宿のNine Spiceとかで地道にやってたイメージです。
西野:デビューライブは、私と杏優以外も全員経験者だったから、前世のオタクの人たちが来てくれて満員だったんですよ。そこでアレを1回バ〜ンって見せられて、次のライブに残ったのは2、3人とか(笑)。
――また極端な!! まあ暗黒舞踏だからしょうがないですけど!
西野:私も曲は良いと思ってたんですけど、この路線で人気になるかどうかは見えなかったですね。未知の世界! それが楽曲派イベントの“エクストロメ”に呼んでもらえて、『KAWARA GIRLS』(2021年5月発表のミニアルバム)が出たあたりから、楽曲派のお客さんが来てくれるようになって、福島の野外のエクストロメでジャパホラ(『KAWARA GIRLS』収録曲『JAPANESE HORROR STORY』)やってものすごい盛り上がって! そのへんから手応えを感じるようになった感じですね〜。
――そこから人気も急上昇すると同時に、どんどん音楽的にゴリゴリと過激になっていったわけですが・・・。西野さん的には面白かったのか、ついていくのが大変だったのか?
西野:あ〜、曲の好き嫌いは未だにあるんですけどね。あとジャパホラとかの後ろの音(アレンジ)がどんどん勝手に変えられるんですけど、私たちはステージの本番で初めて知るのでそれでビックリしたりとか・・・。
でも一番大きかったのは、曲調っていうより、ライブのやり方? 最初は本当に「わかんなくていいよ〜」だったので、与えられた曲を、何も考えず楽しんでたんですけど、I would(2021年12月発表 『I would prefer not to』)くらいから・・・。何て言うんですか? 世界観? みたいなのをがっつり作るようになって、そこから考えるようになりました。
ライブをただ楽しむんじゃなくて。その頃はまだついて行けてたんですけど、小川すずちゃんが卒業して(2023年12月)5人になったくらいから本当に難しい世界に挑戦するようになって、どんどん分かんなくなっていった感じですね・・・。