毎月のように数多くの新台がパチンコホールに登場するが、2021年12月に登場した『新世紀エヴァンゲリオン〜未来への咆哮〜』(以下、『エヴァ15』)の人気は衰えることを知らない。人気漫画化・谷村ひとし氏とカリスマユーチューバー・てつ氏に、その魅力と立ち回りについてくわしく聞いてみた。
『エヴァ15』はパチンコ台の最高傑作!
――あらためて『エヴァ15』の完成度はいかがですか?
谷村&てつ:最高傑作!
――ハモりましたね、今(笑)。
谷村:最高傑作ですね、本当に。
てつ :先日、たまたま「今のパチンコで、1機種しか打てないってなったらどれを選ぶ?」っていう話をしてたんですよ。う〜ん、1機種だけって言われたら、『ユニコーン』は面白いし、『牙狼』は速いし、『うまい棒』は脳汁出るしとか、いろいろ楽しい台はあるけれども、「プライベートの日があって、一日これしか打てないよって言われたら、俺、『エヴァ』に行くかな」って言ったんですよ。
新台に行きたい気持ちもちょっとあるけど、一日ゆっくり打ちたいのはやっぱり『エヴァ15』だなって。
谷村:てつサンに一日打ちたいって思わせる『エヴァ』はスゴいですね〜。通常時の演出も初代を踏襲していてシンプルで飽きが来ないし。
てつ:今まで打った『エヴァ』の中では断トツで15が面白いです。辛口の谷村センセも、『エヴァ15』は手放しで絶賛してますもんね。
谷村:いや、もう文句なしですよ。未だに座れない人がいますからね。この人気はまだまだ楽勝で続くと思いますよ。『エヴァ15』の何が素晴らしいかっていったら、「福音エアー」の存在、あれが大きいんですよ。福音エアーってハンドルからエアーが出てくるんですけど、あの自分にしかわからないエアーは至福の瞬間ですよね。
レバブルもSANKYOのレバブルのノリがビスティにもちゃんと伝わってて、「ブルブルブル」ってレバブルの振動が周辺の台から響いてくると、「あ、誰か当たるんだな」って羨ましくなりますよね。あとはST(スペシャルタイム)である「IMPACT MODE」への突入率が、時短での引き戻しを含むと、破格の約70%と高いのもいいんですよね。STへの入りやすさも、破竹の快進撃を続けている人気の理由のひとつでしょうね。
そしてその「IMPACT MODE」がめちゃくちゃ面白い! あの163回転のSTなんて、もう理想中の理想ですよね。あぁ、もうダメかとあきらめかけた頃に当たる。この喜びがみんなにすり込まれていきましたよね。
てつ:本当にSTのすり込みはいいですよね。
谷村:これから先、どのメーカーも、『エヴァ15』に追いつけ、追い越せってなるでしょうね。知り合いの開発者さんだって参考にするって言ってましたから。今後、通常時のシンプルさやSTは“エヴァ風”になる可能性は非常に高いですね。
ほかの台のすり込みをすべて否定したのが『エヴェ15』
てつ:『エヴァ15』については谷村センセと意見が重複してるところもけっこうあるんですけど、誤差も含めて、じゃあ「なんで最後の晩餐に『エヴァ15』を選ぶの?」っていう理由をお話しすると、『エヴァ』シリーズって、一世を風靡した時代がありましたよね。
コアな原作ファンも上手く取り込んだし、ライトなファンもホールに呼び込んで。それっておそらく3作目・4作目辺りなんですけど、『福音』から筐体も変わって、STになって、演出もいろんなことにトライして、ほかの人気台のいいところも取り込もうとして、ことごとく失敗してきましたよね。
谷村:もう『海物語』と同じですよ。
てつ:余計なことをしたっていう意味ではそうですよね。
谷村:原点を忘れた台はみんな潰れていく。そこに気づくかどうかが大事ですから。
てつ:まさにそう。市場というかユーザーもやっぱり「原点」を求めているんですよ。「俺たちに『エヴァ』を返せ!」っていう言い方をしてましたからね。
谷村:どうしても原作がすり減っていくっていうのは、パチンコのタイアップの宿命だし、いずれ寿命が来るのもしょうがないんですけね。
てつ:だから、良かれと思って作ってる側は変えてるんですよ、たぶん。とにかく新しいことをしないといけない、劇場版の素材も使わなきゃいけない、何かを変えないといけないっていう焦りもあって。
谷村:そこで『シト、新生』を出したのが大きいですよね。
てつ:そこが谷村センセとの誤差で、ボクは正直、『シト、新生』は原点回帰しすぎたと思ってるんです。あまりにも何も起きない。みんなが求めたのはそこじゃないよって。初代の演出はこういう法則で、すごくシンプルで、金枠が出ればもうそれだけで嬉しいという。「あの頃の俺たちの好きだった『エヴァ』を返してくれ!」ってずっと言い続けていた。けど、作ってる側の心理もすごくわかるんですよ、ボク。
何かを変えないとやっぱり飽きられるし、その調整がすごく難しいところで。そんななかで「じゃあわかった。もう思いっきり原点回帰してやるよ」って出したのが「シト、新生」だったんですけど、その結果どうなったかっていうと、特にウケなかったんです。静かすぎて、みんながついてこれてなかった。スペックごと巻き戻して失敗しちゃったと思いますね。
谷村 :『シト、新生』の功績を挙げるとしたら、「エヴァってこんなに何も起きないんだ」っていうことにみんなが気づいたこと。『エヴァ15』ではそのすり込みを利用して、いろいろ起きたら当たらないっていうことを教えたんですよ。だから『エヴァ15』では、保留が変わったりとか、ステップアップとかいろんなことが起きても、当たらないようにできてるんです。
でも、みんなは保留がキョンって音がして変わると、ドキドキしながら見る。でも、当たらない。なのにロクに演出も絡んでいない時に「え、これで当たるの!?」っていう嬉しいサプライズがある。ほかの台ですり込まれたことを全部否定してるのが『エヴァ15』なんですよ。
てつ :『エヴァ15』のヒットはそこですよね。あと、ハンドルの話題性も強かった。
谷村:あのスマートハンドルってもうずっと前から申請してたんだけど、なかなかオーケーが出なかった。ようやく、開発陣の思いが通じたのも15作目なんですよね。
―― オーケーっていうのは保通協(保安通信協会)の審査のことですか?
谷村:もちろんそれもありますけど、若手の開発者が企画を出してもなかなかGOサインが出ない。社内で潰れちゃう企画っていっぱいあるんですよね。初代の「暴走モード」のように、やっぱり若い開発者のアイデアのほうが革新的なんですよ。スマートハンドルも若い開発者さんからのアイデアだし、『エヴァ15』の大ヒットにつながった。このスマートハンドルをすぐオーケーにしなかった上層部の頭って本当に古いなって。
てつ:ボクも経験があるんでわかりますけど、メーカーの上層部って、とりあえず若手のアイデアを一発、潰しますよね。あと、演出も構造からまるで違うんじゃなくて、「知ってる知ってる、この感じ!」っていうのもいいですよね。台枠とか役物は今の時代に合わせて派手にはなってますけど、「あ、俺が知ってる『エヴァ』だ!」っていう。
谷村:あとは速いし、ST中はオール1500発でね。素晴らしいですよ、本当に。
