現役アイドルの感想の最適解!?
朝井:私はもともとオーディション番組が好きなんです。『ASAYAN』って分かります、か?
かれん:すみません。名前を聞いたことはあるんですけど…。
――もうその世代が現役アイドルに!!!
朝井:かれんさんにとってはそれが自然です! 『ASAYAN』からあらゆるオーディション番組を観てきたんですけど、視聴者投票型番組の出現以降、視聴者の在り方が大きく変わったように思います。身の回りでも、職場にポスターを貼り始めたり、毎日“推し”の候補生を布教するためのインスタライブをしたりと、自分の行動原理を変える人が続出したんです。
私はなかなか行動原理が変わらないタイプということもあり、昨日までの自分をあっという間に塗り替えていく友人の姿に大変な眩しさとある種の昏がりを感じていました。それが『イン・ザ・メガチャーチ』を書く一つのキッカケになっています。この切り口で書くことで、人間を動かす原動力について、選挙や戦争にまで言及する形で描写できるんじゃないかなと。
だから決して、アイドルとファンの関係性を意地悪く書こうとしたものではないことをこの媒体の読者の方々にもお伝えしたい!

――ちゃんと読んでくれた人には伝わると思います(笑)!!!
かれん:でもすごいプラスな気持ちにさせてくれる部分もあって。“自分以外の誰かと一つの物事を同じ目線で見つけることができる時間というのは、すごく貴重なのかもしれない。もしかしたらそれが、友情と呼べる時間なのかもしれない”っていう文章があって。そういう時間を共有してるのって、まずメンバーがそうだし。メンバーは仕事仲間であって友達ではないって自分に言い聞かせてたんですけど、自分は最年少で、けっこう年上のメンバーもいるんですけど、普通にタメ語で話してるし、もう友達でいんじゃないかなって。
でもそう考えたら、ファンの人たちともいっぱい同じ時間を共有してるし、これはもう友達なのかもって。この文章を読んだ時そう思えて、ちょっと嬉しくなったんですよね(笑)。
朝井:あの小説からこんな感想が聞けるなんて!
かれん:あと“ファンの量じゃなくて、どんなファンがついてるかが重要って”話が出てきて。私ってあまり“好き好き〜♡”ってファンの人に言ったりとか、過度なファンサービスをしないタイプなんですよ。単純にやるのが苦手だというのもあるんですけど(笑)。そうしないほうが、本当に長い間好きでいてくれるんじゃないかと思っていて。
どういう過程で自分を好きになってくれたかとか、その人にとって自分はどういう存在なんだろうとか、そういうことはいつも考えていて。だから“量じゃなくて…”って言葉を読んだときは、自分のアイドルのやり方も間違ってなかったかも、って思えました。
朝井:衝撃です。この本から現役アイドルの方が語り得る感想の最適解がたった今叩き出されました。本当にありがとうございます!
――このヘビーな内容を読破しつつ、かれんさんがアイドルに対してネガティブにならなくて良かったです(笑)。
朝井:この本はすごく“現代を描いている”と言っていただく機会が多いんですけど、私は今36歳で、結局は平成の影響がすごく強い人間なんですね。だからこれから、かれんさんの世代のアイドルの方とか、かれんさんの世代のファンの方々が、私が思いもよらないような関係性を築いて、文化を育んでいくと思っています。それを突きつけられてびっくりする側に回るのが今からすごく楽しみなんです。
かれん:どんな風に変わっていくんですかね〜? あと全然関係ない話をしていいですか?
朝井:どうぞどうぞ(笑)。
かれん:辛いラーメンが出てくるじゃないですか!
朝井:あ、はい、辛いラーメン! 書きました!
かれん:辛ラーメン大好きなんで。これを読んで、結構レシピ的なことも書いてあったので、読んでるうちにもう食べたくなり過ぎちゃって!
朝井:結構いろいろアレンジしたシーンですよね。
かれん:そう。だから本をスーパーに持っていって、開いて読みながら食材を…。

朝井:え、レシピ本として使ったってこと!? 発売以降いろんな感想を頂きましたが、スーパーに持って行った話は初めてです!
――ちなみに味はどうだったんでしょうか?
かれん:作る時ちょっと吹きこぼれて大変だったんですけど、美味しかったです!!
朝井:良かった!!



Newsクランチ編集部

