芦田美歩の武器はギャップや意外性!
「プロレスラーっぽくないっていうのは、私にとって最高の褒め言葉だと思っているので、言われるとすごく嬉しいです!」
私服姿で取材場所にやってきた芦田美歩(あしだ・みふ)。しばらくインタビューをしていたが、本当にプロレスラーっぽさをまったく感じないので、ポロッと本音を漏らしたら、彼女は想定外に喜んだ。
「一時期、鍛えすぎてプロレスラーっぽい体つきになったこともあったんですけど、それはちょっと違うな、と思って。パッと見るとプロレスラーっぽくないけど、いざ試合が始まったら、しっかりと闘う。そのギャップや意外性が私にとって大きな武器になるなって気づいたんです」
もともと彼女はタレント、俳優として芸能活動を続けてきた。2年半前、事務所を通して舞い込んできたのが「映画出演をする代わりにプロレスラーとしてもデビューする」という不思議な案件。それがプロレス業界入りするきっかけだった。
「じつは以前、プロレスを題材とした舞台に出演したことがあるんですよ。私は若手レスラーの役で、舞台上でプロレス風のアクションもやりました、その勉強のためにDDTプロレスリングの試合を観戦して、髙木三四郎さんと記念写真も撮りました。当時は誰なのかよくわかっていなかったんですけど(笑)。そうやってプロレスに少しだけでも触れた経験があったので、プロレスデビューの話を聞いたときも、そんなに抵抗はなかったです」
小学生のころからチアダンスに打ちこんできたので、体力には自信があった。が、練習初日で『もう辞めたい……』と後悔することになる。
「練習の時点で痛いじゃないですか? ロープに飛んだだけでアザができているし。練習を続ければ続けるほど、わけがわからなくなってきて『えっ、なんで私、この人に殴られているんだろう?』とか(笑)。毎日、汗と涙を垂れ流しながら、本当にすぐ辞めることばかり考えていました」
少しだけプロレスに触れたことはあったけれども、細かいことはなにも知らないままで上がったリングは、あまりにも敷居が高すぎた。しかし、辞めないで続けていくうちに、どんどんとプロレスの「沼」にハマっていっていることに気づいた。
「それまでの私って、どこにいても八方美人的な生き方をしていたんですよ。でも、プロレスっていい顔ばかりしているわけにはいかないし、やっていくうちにいろんな感情を出して闘うことが楽しくなってきたんですよ!
最初はアザができたら『これ、どうやって隠そう』って悩んでいたし、ちょっと擦り傷ができただけで『大変! 病院に行かないと!』って騒いでいたんですけど、いつしかアザや傷はプロレスラーとして勲章のように思えてきて。
よく『辞めるのは一瞬でできるから簡単』って言うじゃないですか? たしかにプロレスを始めたばかりのころの私だったら、そうだったかもしれないですけど、今はもうムリですね。他の選手の引退セレモニーに立ち会わせていただいたときに『自分のときはどうなるんだろう?』って考えたりするんですけど『いや、無理無理! プロレスを辞めるなんて考えられないよ』って。今の私にとって一番難しいことですよ、プロレスを辞めることって。まだまだ続けていって、もっともっと活躍したい!」
今年からは東京女子プロレスの所属選手となった。いまや女子プロレス業界にはたくさんの選択肢があるが「プロレスだけでなく他の活動も二軸、三軸でやっていけるのはこのリングだと思った」と即決で東京女子プロレス入りを決めたというが、そうやって幅広い活動をしている選手が多いだけに、最初は焦りも感じたという。
「ものすごいグイグイ行っているようにお客さんには映ったみたいですけど、それぐらいやらないとダメだなって思ったんですよ。普通に試合をしていたら、他の選手の個性に紛れてしまうし、このまま埋もれていってしまう。だから、どんどん前に出ていこうとしていたし、その中で最初に言った『武器』も見つけられたかなって」


Newsクランチ編集部



