東京女子プロレス所属の鈴芽。2019年8月にデビュー後、着実に力をつけていき、遠藤有栖とのタッグでは、王座に輝いたこともある。そして、ついにシングルでもチャンピオンとなった。そんな彼女がチャンピオンとしてなにを語るのか――。ニュースクランチが胸の内に迫る。さらに、同じく1.4後楽園でプリンセス・オブ・プリンセス王座となった瑞希との特別2ショットも収録!

荒井優希を撃破して新チャンピオンに!
1.4後楽園で2025年のニューヒロインが誕生した。
その名は鈴芽(すずめ)。
1年間、インターナショナル・プリンセス王座を守り抜いてきた“究極の二刀流レスラー”SKE48・荒井優希を華麗に撃破し、新チャンピオンとなったのだ。
「ちょうど優希ちゃんがアイドルとしても、プロレスラーとしても大事な決断(3月いっぱいでSKE48を卒業。4月からはプロレス一本で活動)をしたタイミングだったじゃないですか? だからいままでよりも強い荒井優希だろうな、と一層、気持ちを引き締めてリングに上がりました。優希ちゃんってめちゃくちゃ目が強いんですけど、目力もいつもよりすごくって。でも、その目を見た瞬間、私がどんどん燃えあがっていくことがわかったんですよ! だから、あの荒井優希だから、いままででいちばん強い荒井優希だからこそ、私は勝てたんだと思うし、私もああいうチャンピオンになりたいって思っています。
でも、勝ったけど、まだ優希ちゃんを超えてはいないんですよ。優希ちゃんは1年間ベルトを守って、6回も防衛に成功したじゃないですか? その記録を破って、はじめて荒井優希を超えられると思っているので、どんどん防衛していきたいですね。そして、いつか優希ちゃんが挑戦したいって思ってくれるようなチャンピオンになりたい。いまは国内国外、やりたい選手が多すぎて! みんなと闘うためにも防衛しつづけないと」
鈴芽はシングルプレーヤーとしてより、まずはタッグで注目された。遠藤有栖との『でいじーもんきー』(でじもん)でメキメキと頭角を現し、昨年3月には両国国技館という大舞台でタッグ王座にも輝いた。残念ながら、わずか半年でベルトを失ってしまうことになるのだが、今回のインターナショナル・プリンセス王座戴冠には、その短い王座経験がものすごくプラスに作用した、と鈴芽は語る。
「タッグのときは“チャンピオンらしく”あろうとすごくしていたんですけど、結果として『どうしたらいいんだろう』って自分たちで苦しむことになっちゃって。いまとなっては、もったいないことをしたなって。チャンピオンらしくいることにこだわって、チャンピオンでいる状況を楽しみきれないまま終わってしまったので。
でも、幕張メッセで負けて、ベルトを落としたんですけど、あの試合で『あっ、私たちチャンピオンだったんだね』って思えたのは大きいと思います。プロレスラーにとって、すべての答えって闘ったその先にあるんですよ。いまにちゃんとつながってきているなって。だから、今回もチャンピオンらしくいることにこだわりながらも、この状況を100%楽しんでやろうって思っています」
正直な話、ここまで順風満帆できたわけではない。タッグ王座も周りの人間やファンからしたら、もっと早く獲れるだろうと思っていたし、まだまだ防衛を重ねていける、と信じていた。とはいえ、タッグ王座陥落から3カ月でインターナショナル・プリンセス王座を獲得しているわけで、細かくつまずきながらも、しっかりとジャンプアップは続けている。
「たしかに自分の願っていることがどんどん叶っていったら、どこかで満足しちゃうんじゃないかって不安もあったんですけど、いざチャンピオンになってみたら、すべてが未知のことばかりで、そんな心配はなくなりましたね。防衛戦って、私にとっては毎回が挑戦なんだって。チャンピオンだけど気持ちはずっとチャレンジャーです。
2月にジェイダ(・ストーン)と初防衛戦をして、それはすごく感じました。私はジェイダのことをあんまり知らないのに、ジェイダは私のことを研究して、しっかりと対策されていたんですよ。あぁ、インターナショナルのチャンピオンってこういうことなんだ。外国からわざわざこのベルトが欲しいってやってくる選手は、私のことを徹底的に対策できるようにしてくるんだなって。でも、ジェイダと試合ができて、とてもよかったです。私、チャンピオンとしてもっともっと強くなるから、またタイトルマッチしようって言っちゃったぐらい」
惜敗したジェイダもチャンピオン・鈴芽を大絶賛。これは余談になるが、アメリカ人には「スズメ」という発音が難しいのか、ジェイダがずっと「スズミ! スズミ!」と連呼しているのが、ちょっとおもしろかった。スタン・ハンセンが天龍源一郎を「テンルー」と呼んでいたのと同じシステム、か? 4月にはアメリカ遠征が控えているが、客席からの声援もやっぱり「スズミ!」になるのか? どうでもいいことだが、ちょっとばかり気になるところだ。