オンラインレッスンでこれまでと違う充実感を
新保 そこでオンラインで関わっていくことにした、ということですね?
木村トレ インターネット環境も思っていた以上に整っていることもわかり、初めてのことだからどのぐらいのことができるかわからないけど、とにかく早く、なるべく多くの人に参加してもらえるように、まずは無料で午前中に子どもたち向けのフィットネス系のクラスを作りました。すると、思った以上に参加してくれたり、子どもたちも夢中になってくれて、毎日参加してくれる子がほとんどでした。オンラインのトレーニングが終わった後に、「ありがとうございました!」「がんばったね!」って画面越しにやり取りがあるんですけど、そのやり取りの瞬間が嬉しいなぁって実感があったんです。自粛中の日常にちょっとした交流があるだけでも、全然違うんだなと。
新保 その後、無料の走り方のクラスやバッティングのクラス、また、マンツーマンでの有料クラスなども作り、今回、より様々なプログラムをつくって、ついに「IWA ONLINE ACADEMY」として改めて開講しましたね。
木村トレ 緊急事態宣言も延長され、休校も延び、スポーツ大会も小さなものから大きなものまで全て中止になってしまい、子どもたちは目標を失ってしまいました。さらに親御さんからも「子どものモチベーションを上げたり、技術を落とさないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?」という質問をたくさんいただいたり、交流のある学校の先生方からも「この状況で、教育現場として何かできないものでしょうか?」といった悩みも聞くようになりました。みんなが悩んでいる、ということをひしひしと感じるようになったというか。
新保 たしかに全国民共通の悩みですもんね。
木村トレ そんな中で子どもたちとオンラインで向き合っていると、これまでは目標が「大会などで優勝する!」とか「ベスト8以上!」といったものだったのが、“今、自分ができること”に変わっていっていることに気づいたんです。意識が外に向かうよりも、自分の一番身近な身体を動かすことに意識を向けやすくなっているのかなと……。大会や試合、みんな揃っての練習の機会がなくなったことで、自分の身体のここを鍛えたいなど、意識が自分に向くようになってきたという感じです。実はこれはこれで、普段あまり時間を割くことができない、身体の使い方を徹底的に練習できるチャンスかもしれないと思いました。