フリーアナウンサー・新保友映の「あの人に聞きたい!」 -加藤友康氏(第4回)-

“つぶしの利く”人材を確保・育成する方法 

新保 前回の最後にはセクショナリズムについて軽く触れましたが、今回は具体的にお聞かせいただけますでしょうか?

■フリーアナウンサー・新保友映の「あの人に聞きたい!」 -加藤友康氏(第3回)-

加藤 はい。私はまずセクショナリズム……つまり、縦割り組織を「是」としません。例えば、『つるとんたん』、これは私の原点ですが、年間4回、大型のメニュー再編をします。そのすべてを私が試食会でテイストをするのですが、そのときキッチンには数十名の料理人がいます。コック帽をかぶっている人もいますし、和食のメンバーもいますし、もちろんつるとんたんのメンバーもいます。つまり「みんなで考えよう」「セクショナリズムを取っ払おう」という精神で取り組むからこそ、いろんなアイデアが出てくるのです。

新保 チームという呼び方がいいですよね。まさにみんなの力がひとつになる言葉です。

加藤 ありがとうございます。だからこそ、私どものチームはみんな仲がいいのだと思います。また、みんなの力を融合させていく中で、料理人たちもマネジメントを勉強できるわけです。結果、少し古い言い回しですが、“つぶしの利く”人材に成長していきます。美味しい料理が作れる、しっかり接客もできる、マネジメントのことがわかる、そして業態開発ができる――こういう人材こそがこれからも生き残る料理人なのです。KPGには、それをわかってやっている料理人たちが幹部に多いですし、そんな姿に憧れて若手の料理人も入ってきているので、人材の確保・育成が実現できているという手応えはあります。

新保 「料理人さんも総合マネジメントを」というのは、初めて聞きましたし、すごく新鮮です。

加藤 そうですね。とはいえ、幹部が偉いのだと思います。経営のことがよくわかり、料理人の心意気もわかっている。そんな幹部が育ってきてくれて心強い限りです。