勉強という感覚はなく、野球が大好きなんです

――たしかに野球への愛情は強く感じます。そうそう、番組の特集といえば、アスレティックスのマット・チャップマン選手から山本さんへのメッセージがありました。あれはシークレットだったんですよね。

山本 いや、もうビックリしましたし、スタッフの皆さんからの愛を感じました。私は去年からこの番組のキャスターに就いて、最初の取材がイチローさんの引退試合で、あの試合を実際に現地(東京ドーム)で見たんですね。(イチローさんが所属する)マリナーズの対戦相手がアスレティックスだったんですが、そのときにチャップマン選手のサードの守備を見て「これはかっこいい!」と思いまして。

――カッコいいというのはルックスですか?

山本 いや、(そのときに目を奪われたのは)顔じゃないですね。顔ももちろんかっこいいんですけど、でも一番かっこいいなと思うのは、守備に入る前の姿勢です。ふっと深く腰を落とすんですよ! あの捕球姿勢で、もうハートになりました、目が。

――すごいところを見てますね。

山本 メッセージをいただく時、私が「守備の時の姿勢が好きだ」っていう話をスタッフさんがチャップマン選手に伝えてくださって。「This is for Shuko」みたいなメッセージで感激しました。あの特集で、あらためてあの姿勢はかっこいいなって思いましたね。とにかく守備がめちゃくちゃうまいんです。

――注目ポイントが玄人! チャップマン選手が所属するアスレティックスは、菊池投手のマリナーズ、大谷選手のエンゼルスとの試合数が多いアメリカンリーグの西部地区です。日本でも目にする機会が多いので、チャップマン選手の守備は注目しやすいですよね。

山本 私はもともと宮本慎也さんが大好きで「守備のうまい内野手」が好きになるきっかけになった選手です。宮本さんというと、基本に忠実で、堅実かつ正確な守備も素晴らしいプレーヤーだったんですが、メジャーリーグでは、とっさの判断であったり発想の面白さだったりと、プレー1つ1つに日本とはまた違う魅力があるなっていうのをすごく感じて。643でも「え、そんなのあり?」といった驚きのプレーが毎日あるので、そこもまたMLBの魅力かなと思います。もちろん宮本さんに代表されるような、日本の堅実かつ確かな安心感を与えてくれるプレーもすごく面白いですし、MLBを見るとNPB(プロ野球)の良さ、NPBを見るとMLBの良さが伝わるので、奥深いなって思いますね。

――NPBも例年より遅れての開幕となりましたが、選手や関係者の方々の努力もあってここまで来ました。

山本 本当ですよね。MLBもそうですけど、当たり前のように日常にあった野球が……それこそ私の小さい頃からずっと、日常の当たり前にあった野球が「どれだけ自分たちの生活を豊かなものにしてくれていたか」ということを、あらためて考えさせられました。だからこそ、よりいっそう選手たちのプレーを目に焼き付けたいな、という気持ちはすごく強いですね。1球1球を見逃したくないです。

――『ワースポ×MLB』はMLBの印象が強いですが、日本のプロ野球の情報も流してくれますよね。

山本 はい、ぎゅっと凝縮して。NPBも『ワースポ×MLB』ならではの切り取り方で、お伝えできたらいいなって思っています。平日はどうしても仕事の合間のチェックになりますが、土日はずっとNPBのデーゲームとナイトゲームを見ていますね。朝はMLBを見て、午後はNPBのデーゲームからナイトゲームまで見る……もうもう丸一日、野球です。

――NPBも勉強しているんですね。

山本 正直「勉強している」という感覚はほとんどなくて、ただただ好きだから見ているんだと思います。心から野球が好きなんだと思います。

――本当に野球がお好きなんですね。ところで『ワースポ×MLB』のキャスターに選ばれたときの心境って覚えてらっしゃいますか?

山本 キャスターに就任したときは「この先こんなに濃い期間って、なかなかないんじゃないかな」っていう喜びでいっぱいでした。野球にすべてを費やせるわけですからね。実際、生活のすべてを野球に捧げていますし、こんなにやりがいがあって、かつ、どんどん吸収できる時間が持てることはとても幸せです。

――毎日が一球入魂。甲子園球児のような野球漬けの日々ですね。

山本 本当ですね(笑)。だからこそ、番組で担当する予定の試合は、スコアを書きながらチェックしています。それぐらいやらないと、視聴者の方に野球の魅力が伝わるかわからないですし、解説者の方々への投げ掛けもできないと思っています。我ながらすごく真摯に取り組んでいると思います(笑)。何よりもやりがいが大きいので!

▲山本さんの言葉のひとつひとつから「野球への愛」が伝わってきます