「痛風の人はビールを飲みなさい」という考え方
プリン体は、牛乳や卵には含まれていませんが、基本的にはすべての細胞に存在するものです。干しシイタケや干し魚類、特にイワシ、アジの干物などは高プリン体の食物です。そう考えても、ビールはいくら飲んでもいい、と言えるかもしれません。
いわゆる健康食品にもプリン体は含まれていて、青汁100gにはビール大びん1本分とほぼ同量のプリン体が含まれています。痛風が気になってビールをやめて、健康のために青汁を飲んでいる方がいたら、かなりショックな情報ではないでしょうか。
健康だと思われている食品にも、プリン体が意外に多く含まれているので「ビールさえ控えればいい」という態度は誤りです。
「食」だけに注目してはいけません。大事なのは「食」と「生活習慣」。「食」だけですべてのバランスを取ることはできないのです。
またプリン体は、焼酎やウイスキーといった蒸留酒にはあまり含まれず、日本酒やビールなどの醸造酒に含まれています。特に、地ビールと紹興酒には、一般的なビールの2倍ほどのプリン体が含まれています。発泡酒や第3のビールにも、当然プリン体は入っています。いずれにせよ、ビールのプリン体だけが痛風の原因になるわけでは決してない、ということを覚えておいてください。
昭和薬科大学元教授の田代眞一先生は『ビールを飲んで痛風を治す!』(角川グループパブリッシング)という本まで出しています。ご自身が痛風になってしまった田代先生ですが、ビールを飲み続けたら治ったというのです。なぜかというと、ビールにはそもそもプリン体は少ないし、他のお酒に比べてアルコール度が低く、水分量が多いうえに利尿作用があるからです。つまり、ビールを飲むと尿を大量に作ってくれて、体内の尿酸をどんどん排出してくれるから、痛風は治る――という理論です。
ですから、ビールが飲みたければ「健康のためにホッピーでいいかな」とは言わず、ビールを飲めばいいのです。ただし尿酸値の高い人は、つまみに気を付けなければなりません。魚の内臓や塩辛のほか、レバーや白子、あん肝の酒蒸しなど、高プリン体の食品は避けるべきでしょう。
※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。