8月上旬、お笑いコンビ・レイザーラモンがYouTubeチャンネル『新春漫才番組必ず呼ばれたいんや!』を開設した。彼らといえば、HGはハードゲイキャラ、RGはあるあるネタと個々での活躍も目立っているコンビ。吉本新喜劇、プロレス、個々の活動、すれ違い……紆余曲折を経て漫才師という道を歩み始めたふたりは仲睦まじく晴々とした表情でスーツに身を包み、未来へ向けて若手のように漫才への眩い情熱をたぎらせている。

※本記事は、『+act. ( プラスアクト )2020年10月号』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

(お笑い)第7世代に逆行してやっていこう

――この時期に、コンビでのチャンネル開設に至った理由を教えて下さい。

HG それぞれ個人ではやっていて、相方は趣味のバイクやスニーカー、僕はトレーニングの動画を上げていたんです。この自粛期間でYouTubeをよく見るようになりましたし、始められる芸人さんもいたり、元々やっていた人もいたりと色んな人がいる中で、1番芸人でやってるなって思うのがジャルジャルで。

RG ジャルジャル憧れやんな?

HG 企画ものをやらずに、ネタを上げ続けているのが男前で。単独ライブ用にいつも150本くらい作っていて、ボツネタが溜まってるからアップしてるっていうのを聞いて、かっこいいなと思ったんです。で、コンビで何かやろうってなった時、ネタに特化したものをやりたいなと。漫才やってるって(世の中に)認知されてないので、ネタを頑張ってますよって。

RG 頑張ってますよ感を出しまくって、新春漫才番組に必ず呼ばれる存在に、いつかなりたいなと思ってます。

HG 今で言うと、中川家さん、サンドウィッチマン、ナイツ……この3強に食い込みたいよね?

RG なんせ僕らは、ダウンタウンさんも獲ってる『今宮こどもえびすマンザイ新人コンクール』を獲ってますし。知ってました?

――もちろん存じております(笑)。

RG この賞を獲らせて頂いているのに、漫才やってないっていうのはあかんなと。新春漫才番組に呼ばれ続けるようになった時、Wikipediaを見た人に今宮えびす獲ってるならそりゃ出るわなって、言われるようになりたいというのもあって。

HG まぁ、漫才で獲った訳ではないんですけど、賞の権威を下げないように、これから頑張っていきたいですね。

――言い出したのはどちらだったんですか?

RG マネージャーが頑張ってくれたような気が……。僕らはお互い照れ屋なんで、やりたいことを言い出せないんです。けど、二人でやらないんですかって言ってくれて。『THE MANZAI』に挑戦した時も、当時のマネージャーがきっかけやったんで、いいマネージャーに恵まれてますね。ずっとジャルジャルみたいなことはしたい思いがありながらも、俺らじゃ無理だろうと思っていて。けど、23年くらいコンビやってるし、ネタもいっぱいあるからアーカイブとして残そうということになりました。

HG で、単独ライブの1回だけやったネタとか、寄席向きではないネタとか、自分らは楽しいけど万人ウケする感じではないネタを上げようということに。だから、ジャルジャルと一緒です。

RG 僕らに興味を持ってくれてる層には、プロレスファンの方がおられるので、そっち方向へ振った漫才もやってみたくて。先日、第7世代がプロレスを知らないっていうのが話題になってましたが、大学で学生プロレスをやって、芸人になってからもほんまのプロレスをやらせてもらってきたので、そこは(お笑い)第7世代に逆行してやっていこうかなと。

HG 1本目(にアップしたの)が外道漫才ですからね(笑)。で、YouTube用に1日20本、漫才を撮って。

RG くたくたになったんですけど、今日、劇場で会ったジャルジャルに聞いたらなぁ?

HG 1日50本撮ってるって言ってました。

RG 俺らはまだまだやなぁと思いましたね。

――後輩から刺激を受けて、新しいことにチャレンジするっていいですね。

RG 後輩のことは結構見てますね。『レイザーラモンの世紀末DEATH演芸』っていう、過激なネタをやるライブをやってるんですけど、この前出てくれた鬼越トマホークが嫌いな芸人を言い合うみたいな、見た芸人全員が伝説になるって言うたくらい、すげぇ漫才をしていて。しかも、あいつらって身を削るようなラジオもやってるじゃないですか。そんなん見せられたら、のんびりしていられないですよ。

HG 相方は意外とお笑いに熱い男なんです(笑)。

RG ミルクボーイも我々がやってるライブに出てくれて。

HG 『M-1』優勝する前にね。もともと駒場君とはトレーニングを一緒にする間柄で、ネタの話は一切したことがなかったんです。そのライブはゲイバーでやってる恒例のもので、毎回ゲイの方に誰を呼んでほしいかリサーチしてゲストを決めるんですけど、肉体派の駒場君が人気で。内海もぽっちゃりしてて人気やったんで、呼んだらネタをやってくれたんですけど、めちゃくちゃウケてて。凄いなぁって思ってたら『M-1』獲ったんです。

RG 僕、優勝直後に配信されたAbemaTVのレポーターをしてて。移動途中にミルクボーイに会ったら、圧倒的な優勝を見せたあとやのに、またゲイバーのイベントお願いしますって言ってくれて。

HG めちゃくちゃ忙しいのに、時間取りますんで是非呼んで下さいってね。いっつも言うてくれるんでありがたいです。

――お二人が漫才に力を入れ始めたのは2012年ごろでしたが、それ以前から漫才をやりたい気持ちはあったんですか?

HG 漫才やろうと決めた時、深層心理で漫才への憧れがあったと気づいた感じですかね。

RG 当時は出来ないと思ってたんです。けど、今は色んなスタイルの漫才が出てきたぶん、俺らも出来るんじゃないかなと思えたところも大きいです。

HG ただ、僕はツッコミという役割をやるにあたって、違和感はありました。観ているほうもハードゲイとして世に出た男が……っていうのがあると思うんですけど、未だに「なんでやねん」が言えなくて。

RG もうええわ、もやろ?

HG そう。小杉さん(ブラックマヨネーズ)とか、後藤さん(フットボールアワー)くらいの位置に行かんと。だから「セイセイ、セイでしょ」とか言ってツッコんでます。

――昔、コントを主体とされていた時は、ボケとツッコミが逆だったような。

HG ボケは僕で、相方が僕のボケを説明するようなスタイルでした。漫才やるにあたって、ツッコミどうするってなった時も、Rさんにツッコミが出来ないということは分かってたんですよ。

RG できない! ボケに乗っかっちゃうタイプ、ボケを続けちゃうタイプなので、話を途中で切れないんです。

HG で、仕方なくというか、消去法で僕がツッコむことになりました。


レイザーラモンさんへのインタビュー記事は、9月12日発売の『+act. (プラスアクト) 2020年10月号』に全文掲載されています。