社長をする以上、絶対に避けて通れないギャンブルが「3つ」あります。どの事業をするか(事業内容)・誰を採用するか(採用)・誰をどこに配属するか(人事)。この3つのギャンブルの勝敗いかんで、会社の業績は大きく変わります。

「社長が避けて通れない3大ギャンブル」のラストは人事です。組織の力が上がるも下がるも、適正配置をしているかどうか次第。「誰をどこに」「誰に何を」「リーダーには誰を」そして「誰と誰を(組ませるか)」。武蔵野では、これらに関しても、小山昇社長流の考えがありました。

同等の力を持っている人同士で組織を構成する

1.仕事ができる者同士、仕事ができない者同士で組織を作る

人が集団を形成すると、2:6:2の割合で3つのグループに分かれると考えています。いわゆる「2-6-2の法則」です。

わが社は「それなりの人材」しかいません。それでも2:6:2の割合で3つのグループに分かれます。

  • 上位2割:仕事ができるそれなりの人材(A評価以上)
  • 中位6割:仕事がまあまあできるそれなりの人材(B評価)
  • 下位2割:仕事ができないそれなりの人材(C評価)

多くの社長は「仕事ができない部下は、優秀な上司の下に配属させたほうが成長する」と考えますが、これは間違いです。

なぜなら、A評価の社員は「B、Cが多いこのメンバーなら、次も自分がA評価だろう」と気を抜く。B・C評価の社員は「A評価の人がいると、次も自分はA評価になれない」とあきらめてしまうからです。

同等の力を持っている人同士で組織を構成する、と切磋琢磨します。

競馬の場合、強い馬は強い者同士、弱い馬は弱い馬同士で競争が行われます。一度も勝ったことがない馬は、未勝利戦を戦う。一度敗北したからといって、切り捨てられるわけではありません。

武蔵野の社員も競走馬と同じです。強い社員同士、弱い社員同士が戦う。誰にでも勝つチャンスがあるから一所懸命に汗をかき、頑張ります。

▲同等の力を持っている人同士で組織を構成する イメージ:PIXTA

2.得意、不得意を見極める

私は「不得意なことでもやらせ続ければ、いずれできるようになる」とは考えていません。短所を補正し長所を生かすやり方ではなく、長所を最大化する。「得意なこと」を伸ばしたほうが会社のためにも、本人のためにもなります。

武蔵野では「エマジェネティックス」という分析ツールを、組織づくりに活用しています。エマジェネティックスは、脳科学の理論と70万人以上の統計をもとにして、人間の思考特性と行動特性を分析するツールです。

このツールを使うと、

  • その人がどのような考え方をする傾向にあるか
  • その人がどのような行動を取ることが多いか
  • 未経験のことについて、どのようにアプローチする可能性が高いか
  • 人からどう見られ、人にどう反応する可能性が高いか
  • 何を得意と感じ、何を不得意と感じているのか

などが明らかになるため、人材の適正適所が可能になります。