社長をする以上、絶対に避けて通れないギャンブルが「3つ」あります。どの事業をするか(事業内容)・誰を採用するか(採用)・誰をどこに配属するか(人事)。この3つのギャンブルの勝敗いかんで、会社の業績は大きく変わります。

その「社長が避けて通れない3大ギャンブル」の1つ、採用。誰を(どんな人を)採用して会社を成長させるかは、予測不可能な要素も多く、確かにギャンブルです。武蔵野の小山昇社長は、何を基準に人材を採用しているでしょうか。

「優秀な人」より「それなりな人」

新入社員を採用するとき、多くの社長は「優秀な人」「能力が高い人」「高学歴の人」の採用を考えます。

ですが私は、逆の発想で「優秀な人、能力が高い人、高学歴の人は採用しない」と決めています。「戦力になる人材」とは、能力の高い人材ではなく「社長と価値観が共有できている人材」と私は考えています。

ですから、私が求めているのは、

  • 私(武蔵野)と価値観が合う人
  • わが社の文化、社風に馴染める人

です。

価値観が揃っていれば、社員全員で同じ戦い方ができるため、多少能力が劣っていても、組織力で勝負できます。

強い組織をつくるには「全員が同じ価値観を持つ」ことが不可欠です(面接時の質問や心理分析ツールを使って、価値観が合うか合わないかを判断しています)。

レベルが高すぎても低すぎても、実力を発揮することができない。レベルを合わせたうえで、社員教育(価値観を共有するための教育)を徹底することが、組織力を高める要諦です。

私が社長になったとき、武蔵野は正真正銘の落ちこぼれ集団で、ブラックでした。

猫の手も借りたかったので「運転免許証を持っている」「明日から出勤できる」「日本語が話せる」の理由だけで、採用を決めた社員もいます。

「運転免許証は持っている?」

「はい」

「いつから出社できる?」

「明日からでも大丈夫です」

「運転免許証のコピーを取ってもいい?」

「大丈夫です」

「はい、採用!」

5分で採用した社員が、現在、幹部として15人活躍しています。

▲「優秀な人」より「それなりな人」 イメージ:PIXTA