ふだん、食事を作ることすらままならぬ“ズボラの底辺”に君臨する母親が「手作りおやつ」などという、キラキラとしたものを作ることがあるだろうか……否!

というわけで、主にインスタなどに生息する「ママなのに可愛くメイクをしていて部屋もキレイで、し、しかも料理の腕まで? それ、デパ地下で買ってきたデザートなんでしょう? そうでしょう!!」と、思わず詰め寄りたくなるような素敵ママとは、確実に一線を画している私。

ある日、そんな私をよく知る編集部員が「あ。Kさんでも、確実に作れるおやつレシピの本がありますよ。どうです? ちょうど今週末は雨みたいですし、お子さんと一緒に作ってみませんか?」と、手がけたばかりの一冊を私のデスクに置いていった。

「ねえねえ、Mさん、私のこと知っているよね? これ、挑戦? 挑戦なの!?」

思わせぶりな笑みを浮かべながら去りゆく担当編集Mさんの背中に、じっとりと視線を這わせつつ、目の前の本を見やると『材料2つから作れる! 魔法のてぬきおやつ』とあるではないか……。しかも、あまりの簡単さ、美味しさでチャンネル登録者数26万人を超える、話題のYouTubeチャンネルを書籍化したのだという。

「魔法? てぬき? 26万人? ウソ、材料2つ!?」。踊り文句に、確実に背中を押された単純な私は、そそくさとカバンに本をしまい、なにかと体力を持て余しがちな4歳男児との雨の日の過ごしかた対策の一貫として、数万年ぶりに「手作りおやつ」を作ることを決心した。

ほぼ家にある材料で作れてしまうことにビックリ

予報通り、土曜日の天気は雨。想定通り「つまらない~!」「どこか行きたい~!」と手足をばたつかせる4歳男児。時は満ちた……。「ねえ、ママとおやつ作らない?」。やってTRY!

まず驚いたのは、買い足す材料の少ないこと! ズボラな私でも、クッキーなど作ろうものなら、あれこれと材料が必要なことくらい知っている。しかし、4歳男児が「これ、つくりたあい!」と指さした〈ザクザク食感! 焼きチョコ風クッキー〉の材料は、なんとチョコレートと薄力粉の2品のみ! 薄力粉は冷蔵庫にあるし、チョコレートは、甘いもの好きな夫が、戸棚に隠し持っていることを私は知っている……。

「これなら、もう一品イケるッ!」心の中でそうつぶやいた私は、本をパラパラとめくり、思わず目をむいた〈そのままフローズンヨーグルト〉に白羽の矢をたてた。「洗い物はスプーンだけ!」というキャッチのついた、このレシピ。失敗したら主婦廃業してもいいかもしれない……。

ちなみに、こちらのレシピの材料も、プレーンヨーグルトと砂糖と牛乳の3品のみ。冷蔵庫をあさると、ズボラ主婦らしく賞味期限切れのヨーグルトが出てきたので、買い足すのは、なんとヨーグルトのみ、ということに。

ザクザク食感が楽しい! 焼きチョコ風クッキー

さて、コンビニでヨーグルトだけ買って帰宅すると、さっそくおやつ作りスタート!

まずは〈ザクザク食感! 焼きチョコ風クッキー〉から。耐熱ボウルにチョコレートを割り入れ溶かし、薄力粉を入れて混ぜる。もちろん、混ぜるのは力を持て余した4歳男児だ! 楽しそうにふんふんと鼻歌をまじえつつ、やや乱暴に混ぜ続ける4歳男児。「ねえ、そこまで混ぜなくてもいいんじゃない? もっとゆっくり混ぜて」と言うと「キカイデス」。「え? なんて言ったの?」「キカイデス、キカイデス!!」

▲楽しそうに手伝ってくれました

このとき4歳男児は、チョコレートと薄力粉を混ぜるハンドミキサー(機械)になりきっていた……。そう、常に想像の斜め上をいくのが、4歳男児である。

「そっか、キミは機械だったのか。がんばって」。そして、キカイがようやく動作を止めると、私は彼が混ぜてくれたクッキーのタネをラップで包んで棒状にし、冷蔵庫で冷やす。

取り出したタネを切り、クッキングシートに並べようとすると、また4歳男児が「キカイデス!」と言いながら、器用にクッキングシートに並べていった……。キカイ、意外に使えます!