プロ野球選手時代は、16年にわたり走攻守に活躍し日本一に貢献。また監督としても就任1年目にリーグ優勝を成し遂げるなど、東京ヤクルトスワローズの顔として勝負強さを遺憾なく発揮してきた野球解説者の真中満さんに、現在のスワローズへの愛ある叱咤激励と、スワローズ時代それから解説者として活躍するなかで培った「仕事観」について伺いました。

フジテレビやニッポン放送などでプロ野球解説者として人気の真中満さん。肩に力の入らない、野球の面白さを伝える解説が人気を集めています。ここでは、その意外な「仕事哲学」に迫ります。(取材は8月末に行いました)

※編集部より:今回のインタビューは「三密」を徹底的に避けて行いました。

『eBASEBALL』の指先の動きはプロフェショナル!

新保 真中さんといえば、ゲームの解説もしていらっしゃいますよね?

真中 ああ『eBASEBALL』ね! あれも、とても楽しいんですよ。ただ、まだそこまで浸透していないので『eBASEBALL』の魅力や楽しさを、皆さんに伝える仕事をしています。

でも、なかなか難しいんですよ。「手先を動かすだけなのはスポーツじゃないだろう」という感覚の人も多いと思うんですよね。正直、僕も最初はそう思ったんです。「だってゲームじゃん」って。「ゲームで戦って、そんなのスポーツって言うなよ」とも最初は思ったんですが、実際こうやって関わってみると、指先の動きがプロフェッショナルなんですよ。わずかな指の動きで勝負する、その緊張感はまさにスポーツです。頭を使ってトレーニングをしているし、野球選手よりも長い時間練習していますからね。大会中とか、もうめちゃくちゃ練習するんですよ。

そういうことを考えると、本当にスポーツだなと感じます。ドラマもありますしね。やっとドラフトにかかった選手、去年は全然勝てなかった選手、いろんな選手の動きを見ていて、徐々に楽しくなってきています。それを僕たちが上手く伝えられればと思います。

新保 最初、どういう経緯で真中さんにお話があったんですか?

真中 知り合いを通じて、解説の依頼があったのですが、最初に何本かやってみて、昨年からは「応援監督」ということで、大々的にいろいろやらせてもらっています。僕の得意なドラフトとかもあるじゃないですか(笑)。どうしてもドラフトのときには僕を使いたくなるみたいで、その流れでの応援監督なのかなと。まあ、いろんな失敗が仕事につながるよね(笑)

新保 ドラフトでの「はやとちり事件」で、ここでもイジられる……(笑)。

真中 初めは恥ずかしかったけど、今はもう恥ずかしさはないもん。一切なくなってる(笑)。まあ「失敗を生かしている」ということでね。生かしてはいないか「生かされている」か(笑)。

▲「失敗を生かしている」と語る真中さん。その言葉どおり多忙な毎日を送っている