プロ野球選手時代は、16年にわたり走攻守に活躍し日本一に貢献。また監督としても就任1年目にリーグ優勝を成し遂げるなど、東京ヤクルトスワローズの顔として勝負強さを遺憾なく発揮してきた野球解説者の真中満さんに、現在のスワローズへの愛ある叱咤激励と、スワローズ時代それから解説者として活躍するなかで培った「仕事観」について伺いました。

ペナントレースも半分を消化して最下位にいる東京ヤクルトスワローズ。選手・コーチ・監督と燕一筋の真中満さんは、現在のチームをどのように見ているのでしょうか。意外や意外、愛情たっぷりの辛口評価となりました。(取材は8月末に行いました)

※編集部より:今回のインタビューは「三密」を徹底的に避けて行いました。

コロナ禍によりプロ野球の新しい応援スタイルが生まれる

新保 2か月遅れのペナントレースも半分が経過しました。コロナ禍により異例のシーズンとなってしまいましたが、ここまでのプロ野球はどうご覧になっていますか?

真中 まずは本当にシーズンが始まるかどうか心配されるなか、6月19日に始まったことに対しては、関係者みなさんの大変なご苦労があったと思いますが、始まってよかったなというのが一番です。

新保 シーズン当初は無観客試合でしたよね。実際に球場で解説をされていて違和感などありましたか?

真中 解説している分には、影響はなかったですが、選手はやっぱりお客さんの盛り上がりがないのは、物足りなく感じるでしょうね。まあ、負けてるときにはうるさいヤジもいっぱいあるんでね(笑)。

あと、純粋に野球をやって、純粋に試合を観ているという部分については、僕は良かったと思うんですよね。いつもと同じようにラッパの応援が流れているのもいいんですが、純粋にいいプレーに対して拍手が出る雰囲気とか、あと今は声が出せないのですが、拍手と声が重なるようになったときに、今までの応援スタイルから少し変化すると思います。そんな新しい応援スタイルもいいんじゃないかっていう気はしますね。

▲球場全体を見渡しながら、新しい応援スタイルを提案する真中さん

新保 打球音とか投球がミットに入る音、それとピッチャーが投げているときに発する「ウヮッ」という唸り声とか、今までは分かりませんでした。

真中 そうですね、そういうのは伝わると思いますね。別に「メジャーリーグみたいな雰囲気が好き」と言っているわけではなくて、日本の野球の応援で当たり前になっていたものが、また変わっていく。それはいいことだと思うんですよね。

新保 たしかに一度原点に返ってみて、またいいところを見つけていくのも楽しいかもしれません。

真中 まあそれも含めて、この無観客とか入場制限はちょっと変化があって面白いなとは思いましたね。球団は収入面では大変ですけどね。