今年の8月末に亡くなった元タイガースの岸部四郎さん。『ルックルックこんにちは』(日本テレビ系)では名司会者ぶりを見せるも、浪費と借金問題で破産したことは広く知られています。その後、自虐キャラが受けてバラエティーで復活し、週刊誌では『岸部四郎の無責任人生相談 僕に聞いてどうすんの?』の連載を受け持つまでに至った。
前回、ウイットに富んだアドバイスの数々を追悼の意味を込めて紹介したところ、ギスギスしたコロナ禍に生きる人々に届いて多くの反響を得たため、追加エピソードを紹介しよう。
相談1:ドライな人間が多過ぎる
不安定なごとき世のせいか、今の世の中、損得勘定でしか動かない人間が多過ぎる気がします。特に若者は、男も女も、人付き合いにいたるまで自分のメリットを気にする始末…。こんな風潮を、岸部さんは、どう思われますか?(51歳・会社員)
岸部 この人の言うことはわかるけど、人間誰でも、そうやって損得で動くもんやからねぇ……。こんなこと言うたら身もフタもないけど、やっぱり損得勘定で動いた方がお利口なんと違う? 少なくとも、自分が損をしないということを考えて動いた方がさ。
特に、女性ちゅうのは損得で動いてるし、お金とか、自分にメリットのない男には寄ってこないから。今の僕には誰も寄ってこないのが、いい例じゃない。
だから、これは教訓っちゅうか、声を大にして言いたいけど「女性には見返りを期待したらダメ」なんだよね。相手がどんな女性だろうと、見返りを期待するもんじゃないワケ。
例えば、これが骨董だったら多少目が利くっちゅうことはあるけども、女性の場合は目が利くっちゅうことはないでしょ。いい女と付き合ったからって「女性に目が利く」とは言わんし、若い子がいいとか、そういう好みの問題だけで「この女はいいよ」みたいなものはないでしょ。
女性に関しての損得の見極めは難しいし、いくら尽くしても見返りはない、と思ったほうがいいよ。
え? ああ、女の話じゃないのか(苦笑)。
でも、僕は損得で動いてきたけど、ええ格好しいだから、損でも結構動いてたよね。サービス精神っちゅうのかな。
亡くなった奥さんに、よう言われたもんね。「お人好しはもうしないこと」って。
なんでも人にいいように思ってもらおうとする気持ち、それが僕の悪いクセなのよ。ある人から「岸部くんは、八方美人だからいけないのよ」って言われたこともあるし。
自分ではそんなふうに考えたこともなかったけど、その人からすれば、あっちにもいいことを言い、こっちにもいいことを言い、っていうふうに取られてしまったワケ。こっちはそういうつもりじゃなかったんだけど、僕は性格的に、他人に渋いことをよう言わないんです。
ホントは「嫌われてもいいから、嫌なことでも言わなきゃいかんことは言う」って、ハッキリしといたほうがいいんだけど、あんまり激しく言うと誤解を招くことがあるでしょ。
でも、人間、適度には思ったことをハッキリ言わないかんのよ。僕は溜め込んじゃうほうだから、それがストレスになっちゃうんだよね……。
今は、奥さんに言われた「お人好しはしない」は守れてるのかって?
意識はしてるけど、なかなかやりきれないわね。まだ、やっぱりお人好しですよ。僕は、お金があるときは人とご飯とか行っても、お代は僕が出すのが当たり前だと、ずっと思ってたぐらいだから。
まあ、今はお人好しするほどのお金もないから、結果的に守れてるってことになるのかな(苦笑)。