香水でも生花と同様の効果が期待できる

「脳の活性法」のひとつは、バラの香りをかぐことです。

もちろん、バラ以外の花の香りも素晴らしいですね。“三大香木(さんだいこうぼく)”のキンモクセイ、ジンチョウゲ、クチナシの香りを楽しんでください。

一方、花が「生存戦略」として香りを活用していることが知られています。自分自身では移動できないという植物の弱点を補うために、香りで虫や鳥をおびき寄せて、それらをなかだちにして受粉させています。それは戦略的とも言えるでしょう。

ひょっとしたら人間も、虫や鳥と同じように花に操られているだけなのかもしれません。うっとりと顔を近づけているうちに、クシャミで花粉を散らすことだってありますよね。

そんな花の香りを集めたのが「香水」です。ジャコウなど動物性の香り、木の香りや皮革(ひかく)の香りを使ったものや、匂いの成分を化学的に合成したものもありますが、花から香料を抽出して、それをアルコールに溶かして作ります。ですから、香水の香りを楽しむのも、花の香りを楽しむのと同じ効果があります。

香水でも生花と同様の効果が期待できる イメージ:PIXTA

自然の少ない都会に住んでいる方、花粉アレルギーのある方、病室にお花を持ち込めない療養中の方も、そっと楽しむことができるのが香水の強みです。

香水は、欧米の人たちにとってはひとつの文化であり、必需品として発達してきました。貴族文化が栄えたころのフランスなどでは、公衆衛生という考え方はなく、街は汚物まみれでした。日常の耐えられない臭いを、強烈な香水で覆い隠すということが日常的に必要だったのです。

それに比べると、お風呂が大好き、体臭も弱い日本人は「無臭」が通用する文化でした。そのため、香水文化が芽生えにくかったのかもしれません。日本人の場合は、ビャクダンなどが、宗教的な理由や、戦いにのぞむ武士がヨロイにたきこめるなど、香りの文化として後世に伝えられました。

しかし、最近では香水を楽しむ人が増えています。人を魅了する香りを身にまとい、自分自身が「美しい花」になる楽しさに目覚める――あなたの脳にも、周りの人にもきっと楽しさが生まれます。