脳が快感を受けつけなくなってしまうのが認知症。逆に脳が喜ぶようないい香りをかぐこと、そして脳が喜ぶような美味しさを味わうことが脳を刺激し、ひいてはボケ防止につながっていくのです。ですが何故香りがボケ防止に関係あるのでしょうか? 東京脳神経センター専門医である天野惠市先生から、ボケないメカニズムを学びます。

※本記事は、天野惠市:著『ボケたくなければバラの香りをかぎなさい』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

ボケの初期症状「匂いがよくわからない」

「香りという無限の組合わせを感じる嗅覚は、動物をそれ自体で喜ばすものである」

これは、あのレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉です。人間にとって香りはとても大切な存在であることを、よくあらわした言葉です。

認知症は、香りとは切っても切り離せない関係にあります。

ひどい物忘れや、理解力・判断力の低下、幻覚や妄想、徘徊などの症状が見られるのが認知症ですが、そんな認知症の入り口と思われがちなのが“物忘れ”。しかし、このような症状が起きる前の段階で、まず「匂いがよくわからない」という症状が多くのケースで見られます。

その理由は、脳の老化の最初の段階で、側頭葉の扁桃体の中にある嗅皮質(においに関する情報を整理して、脳に収める役割をしている部分)に萎縮が起きているからです。

バラの香りに、人は魅了され続けてきた

脳の機能は、外部から刺激を受けないと機能低下が起きやすいため、何もしないとどんどん脳は老化していきます。嗅皮質を衰えさせないためには、官能的で、魅力あふれる香りを脳に送り込んで、衰えた脳のその部分を活性化させる必要があります。

香りは脳を刺激し、回復不能と思われた心の深い傷を癒してくれることがあります。その中でも、バラの香りは、認知症を予防・緩和する効果が期待できます。

バラの香りをかぐと、脳全体に喜びの感情が広がっていきます。反対に、悪い香りをかぐと脳全体に不快な気持ちが広がって、脳の機能を低下させます。それほど嗅覚は脳にとって影響力が大きいのです。

まさに、「ボケたくなければバラの香りをかぎなさい」。そうです、バラの香りこそが、認知症回復の決め手です。

バラの香りに、人は魅了され続けてきた イメージ:PIXTA

人間がここまでバラに魅了される理由はなんでしょうか。禁欲が美徳とされた中世ヨーロッパでは、バラはその魅力的な香りと美ゆえに、人を快楽へと誘う「背徳の花」とされました。これもバラの持つ魅力を伝えるエピソードのひとつです。

日々の生活に少しずつバラの香りを取り入れることで、明日からの人生に変化が起きます。満ち溢れる美しいバラとその優雅な香り――想像するだけでも、脳が喜んでいますよ。