慣れないテレワークでの仕事や新しく変わった環境など、さまざまなことで「集中できない」と悩んでいる方も多いでしょう。今まで「集中力」に特化して、小学生・会社員・アスリート・経営者など15万人以上を指導してきた森健次朗氏に、家でも職場でも簡単に集中状態を作り出せる方法を教えてもらいました。

※本記事は、森健次朗:著『30秒集中法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

先延ばしグセは単純作業を行なうことで解決

「文章を深く理解したい、早く読みたい」
「気持ちを落ち着かせたい」
「気分をリフレッシュしたい」
「やるべきことに没頭するために視界を制限したい」
「複雑な仕事や勉強を正確に進めたい」
「頭をスッキリさせたい」

これらは、仕事や勉強をしている人なら、誰もが思うことでしょう。ここでは、これらの願望を達成するために的確な集中法、視覚だけではない五感を使った技をお伝えしていきます。

五感を一点集中させることで、より集中状態をつくりやすくなり、能力を引き出しやすくなります。さまざまな感覚を刺激することによって、集中のスイッチを入れることが可能です。ここでご紹介するテクニックはどれも難しいことはありません。

すぐに集中するためのカギを複数持つことで、仕事や勉強の状況に合わせて効果的に使うことができます。

めんどくさいこと、精神力を必要とする難しい仕事に向かうときは、精神的な苦痛を感じてしまうこともあり、なかなか手がつかないことがあります。こういった心身ともに通常よりも消耗する仕事は、先延ばしにしたり、気合いで始めたとしても、なかなか集中できないものです。

そこで、私がおすすめするのが、そういった労力がかかる仕事をする前に、単純作業を行なうことです。単純作業を行ない、仕事モードのギアを入れてから、そういったことを始めるとスムーズに集中して、やるべきことを効率的に行なうことができるようになります。

では、どういった単純作業を行なえばいいのでしょうか。私がおすすめしていることが、いくつかありますのでご紹介していきます。

  • 間違い探しドリル
  • 漢字ドリル
  • 音読ドリル
  • 計算ドリル

といった、あまり頭を使わなくてもいい単純作業を、30秒間というタイムリミットを決めて行なってみてください。

▲先延ばしグセは単純作業を行なうことで解決 イメージ:PIXTA

脳には「作業興奮」というメカニズムがあります。いったん何かをやり始めると、意外と集中して物事をやり続けられるというものです。これは、しぶしぶ始めたことでも調子が上がってくるという、とても便利なメカニズムです。

間違い探しドリルなどは、始めてしまうと「もう少しやりたい」となりますが、30秒でやめることがポイントです。気分が高まったところで重要な仕事に移行すれば、集中力が高まった状態で取り組むことができます。

やるべきことになかなか意識が向かわないときには、単純作業を行ない、集中モードをつくってから、頭を使う仕事に向かうと効果的です。複雑な仕事をやるときにモチベーションがわかないとしても、集中のための準備運動として単純作業を行なえばいいのです。