仕事や勉強をはじめとして、さまざまなことで「集中できない」と悩んでいる方は多くいます。現代社会は日々、多くの刺激を受ける状況ですから、それもしかたがありません。けれども、人間ならば誰しもが持っている「集中力」が発揮できれば、さまざまなことの成果は上がっていきます。今まで15万人以上を指導してきたスペシャリスト・森健次朗氏が「集中力」を引き出すコツを教えてくれました。
※本記事は、森健次朗:著『30秒集中法 -いきなり一点にすべての能力を集め、持続させる-』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。
気分や気持ちの波に関係なく「結果」は求められる
大人になると、好き嫌いが明確になってきます。この作業は好きだけど、この作業は嫌い。この分野について学ぶことは好きだけど、この分野の勉強は嫌い。
たとえば、企画を考えることが好きな人は、アイデアを練っている時間は至福の時間であり、集中力も高いことでしょう。一度集中が切れてしまっても、再度集中状態をつくることが難しくないはずです。
企画を立てることは好きだけど、事務処理は苦手だという人は、使った経費の書類作成などはやりたくないはずで、手をつけられない、やり始めても気が散るということが起こります。
つまり、人間は好きなことには自然とスムーズに集中状態をつくり、継続させることができます。一方で、嫌いなことにはなかなか集中できないものです。
しかし、これでは社会人として評価されませんし、成果に波が出てしまいます。
大人は、好きなことも嫌いなこともコンスタントに結果を出すことが求められます。しかも、好きなことも嫌いなことも、集中してなるべく短時間で完了させることが求められます。
仕事や勉強において、集中の波をなるべくなくし、平均して高い集中状態をつくることが、社会人としての絶対条件なのです。だからこそ、どんなことでも集中して向かうことができる、“手軽な集中の技術”が必要です。
気分や気持ちの波に関係なく、スッと集中し、物事を完遂するまで没頭するための技を持つことが、大きな差を生むのです。
集中するために大切なことは、メンタルによって集中を妨げないことです。
つまり「気分は乗らない、だけど、目の前のことには集中して向かうことができる」というパターンを持つことが大変重要になります。
集中状態にしてから「やるべきこと」に取り組む
私がまず、集中するためにあなたに知ってもらいたいことは「やるべきことの中には、好きではないこともある」。けれど、集中はできるということです。
私が言いたいことは「気分が乗る」→「集中する」という流れを、つくってはいけないということです。これでは、なかなか集中力は高められません。誤解を恐れず言ってしまえば「やるべきことに集中する」必要はないのです。
そうではなく「集中状態をつくる」→「やるべきことをやる」という流れをつくればいいのです。感情や気分によって集中状態を生み出す方法は、得策ではありません。集中を高めてから、物事に向かうということをやってほしいのです。こうすると、感情も気分も関係なく、物事に没頭していくことができます。
つまり、集中のルーティンを行なうことこそ、集中して仕事や勉強を効率的、かつ、能率的に進める秘訣なのです。
ある資格スクールの大人気講師の方は、授業を始める前に机を丁寧にきれいに拭くのだそうです。これもやはり、集中のルーティンだと言えます。「隅々まできれいに拭く」「汚れている部分をしっかり拭く」ということで、視覚と触覚を使います。五感が通常より研ぎ澄まされ、いい状態で授業に入っていけるのです。
とにかく覚えておいてほしいことは、一度集中状態さえつくれれば、その後はどんなことでも質高く行なうことができるということです。
だからこそ、集中のルーティンを駆使し、高い集中を維持した状態で物事に向かってください。仕事や勉強の種類によって集中の波をつくってしまうと、成果は出にくくなります。
平均していつも高い集中状態で物事に向かい、能力を引き出しながら、質の良い行動をとることこそ、社会人にとっては重要なのです。