仕事や勉強をはじめとして、さまざまなことで「集中できない」と悩んでいる方は多くいます。今まで「集中力」に特化して、小学生・会社員・アスリート・経営者など15万人以上を指導してきた森健次朗氏に、手軽で簡単にできる「一点シール法」について聞いてみました。5秒見つめるだけで、集中状態を作り出すことができるようです。

※本記事は、森健次朗:著『30秒集中法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

人間は気が散る習性を持っている

ビジネスも勉強も、高い成果を出したいのなら、瞬間的に一点に集中することが大切です。作業効率を上げる、何かを発想する場合にも、対象に対して「一点集中」することができる人は成果を出していきます。

集中するということは、すべての意識がやるべき対象に向かっている状態のことです。なかなか集中できないときのことを考えてみましょう。

たとえば、職場から帰宅し、自己実現のための勉強をしなければならない。しかし、ネットサーフィンをしたり、小説やマンガを読んでしまい、そちらに気が取られてなかなか勉強を始められない。

こういうことはよくあります。これは、一点ではなく多くのことに気が向いているということです。興味・関心・好奇心がわくことに対しては、強く向き合うことができます。しかし、これでは本当に自分が達成したいことを成し遂げることはできません。

▲人間は気が散る習性を持っている イメージ:PIXTA

こういったことを避け、やるべきことたったひとつに集中することを「一点集中」と言います。「一点集中」の技を知ることで、やるべきことに対して、すぐに集中することができるようになるのです。

「めんどくさい」「つらい」という感情がわき上がったときに、すぐにやるべきことに集中するには、一点集中の技術を使うことが有効です。「一点集中」をすることができると、物事の本質にフォーカスすることができるようにもなるので、仕事も勉強もうまく回り出します。

「一点集中」をすることができれば、過去の情報と新しい情報を組み合わせたり、比較したりしながら、情報を吟味していくことができるというメリットもあります。そして「すぐやる」。これはできる人の絶対条件なのです。

人間は気が散る習性を持っています。集中しなければならないと考えていても、周りの刺激によって、気が散るということはよくあります。よく考えてみると、ひとつのことに集中していることが驚くほど少ないことに気づけるはずです。

動画を見ながら勉強をしたり、食事をしながら本を読んだり、携帯電話を触りながら打ち合わせをしたり、ひとつのことだけに集中するということはあまりやっていません。

ひとつのことに集中できる「一点シール法」

私たちは、ひとつのことに集中できない環境の中で日々生活しています。デジタル製品の普及により、以前よりも集中することが困難になっているという現実もあります。

1日を振り返ってみると、たったひとつのことにしっかりと集中し、没頭している時間は長くないのです。だからこそ、集中の技を知り、ひとつのことに集中する時間をつくっていくことが大切です。

仕事を始める前、勉強を始める前に「一点シール法」という手法を試してみてください。気が散っているとき、意識が散漫になりぎみのときに、この「一点シール法」を行なうと、目の前のことに集中できるようになります。

「一点シール法」は、丸い形のシールの中心に点を書き、口から息を吐きながら、それを5秒見つめるだけでOKです。これを行なうだけで、集中状態をつくり出すことができ、スムーズに仕事、勉強に向かうことができるようになります。

▲ひとつのことに集中できる「一点シール法」 イメージ:PIXTA

集中したいのに、集中できない。気が散ったり、めんどくさい、始めるのがつらい精神的苦痛を感じる、人から話しかけられて集中が途切れてしまったというときでも、すぐに集中状態をつくることができます。

集中できずにグズグズしていて時間を浪費してしまうと、自分の時間を自分でコントロールできないという嫌悪感にさいなまれます。時間をコントロールすることは、成果を生み出すためには必要不可欠です。

「一点シール法」を使い、ぜひ、自分の時間を大切にしてください。