世界一幸福なフィンランドの教育レベルはヤバい

2018年3月に国連が発表した「世界幸福度ランキング」で、156ヵ国の中で第1位に輝いたのがフィンランドです。

ムーミンやサンタクロースの国としても有名ですが、その陰では不名誉な事実もあります。実はフィンランドは学力低下国なのです。

▲世界一幸福なフィンランドの教育レベルはヤバい イメージ:PIXTA

国際学力テスト『TIMSS』を行ったところ、フィンランドの生徒の8割以上が分数の計算問題ができなかったのです。また日本の中学3年生に相当する学年の、3分の2がパーセンテージの計算ができず、買い物をするときに値引き計算もできません。

なぜ、これほど教育事情が悪いフィンランドのイメージが、戦略的に持ち上げられてきたのか――その背景にあるのは政治による工作です。

フィンランドがメディアで大きく取り上げられるようになったのは、経済協力開発機構(OECD)が、教育分野での発言力を増強するためでした。各国の教育レベルはOECDがつくりあげた指標で計測するため、OECDはフィンランドをはじめ北欧諸国に有利な指標を適用し「OECDの方針を採用すれば国力が上がる」と宣伝したかったのです。

そのため、主に15歳の子どもを対象としてOECDが行う学習到達度調査『PISA』では「常に好成績を残している国」としてフィンランドが注目されるようになり「世界一の幸福な国では、未来を担う子ども世代も幸せな日常生活を送っている」という印象が強化されました。

ところが、教育の全体力や実際の学力を細かく見ると、どうも「フィンランドの教育レベルは最高」ということはマユツバものに思えてきます。

実際、大学や技術専門学校の数学教員たちは、新入生の数学の知識がかなり落ちていることを懸念しており、1999年に行われた『TIMSS』では、図形と代数の分野でフィンランドの学生は平均を下回っていたのです。