まぐろの匂いにつられて椎名町へ…

お魚が食べたい日があります。サバの塩焼き、サンマのみりんぼし、シャケを焼いたもの。だけどね、酒飲みの最高のご馳走は、あの魚だと思うんです。今日はとびきりのマグロを食べさせてくれるお店にお邪魔します。

西武池袋線・椎名町駅から徒歩2分。『おぐろのまぐろ』は仲卸から直接仕入れた新鮮なマグロを、リーズナブルな値段で提供することで話題の人気店です。池袋にも支店を出したことからも、その人気ぶりがわかるというもの。さあさあ、入ってみようじゃありませんか。

▲コの字でもロの字でもない独特のカウンター

店に入ると、これはまた独特な形のカウンター。聞けば昔は地元でも有名なマグロ屋さんで、知り合いだったオーナーが譲り受ける形で、新たに立ち飲み店として再出発したんだとか。オープンは2年前だから、まだ新しい店の部類だろうけど、なんでしょう、老舗然とした風格を感じるのは、立派なカウンターのおかげなんでしょうか。

▲最初の一杯はいつも胸が高鳴ります

まずは喉を潤しましょう。今日はレモンサワーにします。直前にあった取材が、素敵な中華料理屋さんでね。「うまいうまい」って言いながら食べすぎたもんだから、軽く口をリセットしようと思ったんです。プヒャー! ああ、うまい! 「私はこの一杯のために生きているんだ」と改めて思います。

▲飲んべぇの心をくすぐるメニューがずらり 

店内を見渡すと、一生懸命にキビキビと働く店員さん。完全に私の個人的な見解ですが、いい立ち飲み店というのは、店員さんの動く姿がシュッシュッとしていて残像が見えそうになる。きっと忙しいから素早く動かざるを得ないという事情もあるんでしょうね。とにかく、店員さんの手際がいい店=いい立ち飲み店なんです。

▲壁に貼られたマグロの分布図から感じ取る専門店の矜持

「何を頼んだらいいでしょうね」と美人の店員さんに聞いたら「それだったら桝(ます)盛りからどうぞ」と言われます。こちらはこの店の看板メニュー。とびきりのマグロが桝いっぱいに乗ってなんと190円なんです。頼まない客はいないって、そりゃそうだ。ああ頼んでよかった。

あたしはいつも、お店のお勧めには乗るようにしています。自信を持ってお勧めしたものを頼んでくれたら、店だって気持ちがいいでしょう。

▲枡盛り本マグロは想像以上の山盛りでやってきた

つやつやに輝いたマグロは、脂が乗ってとにかくおいしそうだ。明らかにサービス品だとわかるそれは、1人1回しか頼めないスペシャルメニューだって。

さて、しょうゆにそっとつけて一口。日替わりなんですが、この日は中トロに近い部位で脂身が強くて、つまり旨味が強い。口に入れた瞬間、旨味が新幹線と見紛うばかりのすごい勢いでやってくる。くぅ~、うまい。本当にうまい!