まぐろ尽くしなのにリーズナブル

▲おもわず日本酒を頼みました

歳を重ねるとマグロがうまいと思えるのはなぜでしょう。カンパチやイカなんかも好きだけど、歳をとって甘いもんが苦手になったのと同時に、マグロの魅力に気がついた。

マグロの旨味は舌に絡みつくんですよね。一口食べて、噛み締めると強烈な旨味が口の中で長い時間踊り続ける。それをそっと酒で流し込む。酒飲みにとってたまらない瞬間でしょう。

▲まぐろのフルコースを堪能します

桝盛りは、あっという間に食べ終わったので、マグロ３点盛りを注文。赤身に、あぶりに、ネギトロがたっぷり。

▲ネギトロを海苔にのせちゃいます

刺身をつまみに飲むことに問題があるとしたら、いや、問題なんてないな。よし、言い直そう。刺身をもっとうまく食べるためには、食感を変える必要があるのではなかろうか。つまり刺身が連続すると飽きもくるってことだ。

その視点からいっても、この三点盛りは素晴らしいのひとことに尽きる。赤身で刺身を楽しんだら、あぶった中トロで肉肉しさを堪能して、最後にネギトロをそっと海苔にのせてご馳走気分を味わう。これはもうマグロのフルコースであると言いたい。

▲あぶった中トロにあわせるために、レモンサワーも頼んでみました。いい眺めだ

レモンサワーを頼んで、チェーサーがわりにしながら、日本酒を飲む。マグロの刺身で日本酒のペアリングを楽しんだら、次にあぶった中トロをステーキよろしく、レモンサワーで流し込む。

私はマグロの周りを延々と回り続けるメリーゴーランドになりたい。マグロって本当にうまいんだって、私はその思いを新たにしました。

▲だんだんとだらしない顔になってきた

この地でやっていた『おぐろのまぐろ』というマグロ屋さんはね、地元でとても愛されていたんだって。でも、高齢を理由に店を畳むと言う話を聞いた旧知のオーナーが、店がなくなってしまうことを惜しんで、ブランド名はそのままに、飲み屋として残すことにした。立ち飲みスタイルにしたのは、お手頃な値段で、みんなにこのマグロを食べて欲しいという思いがあったに違いない。

みんな最初の枡盛りを頼んだら、一気にこの店のファンになってしまうでしょう。マグロ以外のつまみで稼ごうなんて了見の狭いことはしない。うまいつまみをたくさん食べて楽しく帰って欲しい、という店の思いをいたるところで感じる。だから私は一気にこの店が好きになったんです。

▲テレビを見ながらのんびり飲みましょう

椎名町という街は、安くてうまい店じゃないと生き残れないみたい。それでいて強く個性を発揮するこういう店は、きっと長く長く愛されていくことでしょう。うまいマグロが食いたければこの街へくればいい。楽しい夜を約束します。

それじゃまた。次の街で会いましょう。