よく「中年男性の色気」とか「年を取ってもセクシー」……などと言いますが、その“色気”や“セクシー”の正体とは、いったいなんなのでしょう? また、どうやったら身につけることができるのでしょうか? 脳神経外科医の菅原道仁氏に、自己肯定感カウンセラーの山田ゴメス氏が話を聞きました。

※本記事は、菅原道仁/山田ゴメス:著『モテと非モテの脳科学 -おじさんの恋心はなぜ報われないのか-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

色気とは経験に裏打ちされた「自信」である

私が、色気のある男性と聞いて思い浮かべるのはジェームズ・ボンド。映画007シリーズの主人公で、世界一有名なスパイです。ジェームズ・ボンドは、初代のショーン・コネリーからダニエル・クレイグまで、6人の俳優さんたちが演じています。どのジェームズ・ボンドもセクシーで色気のある魅力的な男で、異性からだけではなく同性からも人気があります。

▲『007』でジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリー 出典:ウィキメディア・コモンズ(ETH-Bibliothek Zürich, Bildarchiv / Fotograf: Comet Photo AG (Zürich) / Com_C13-035-007 / CC BY-SA 4.0)

 

なぜジェームズ・ボンドは、こんなにも魅力にあふれているのでしょうか。それは、私が思うに「自信」といわれているものが、にじみ出ているからではないかと考えます。

スパイという危険極まりない仕事を日々こなしており、あらゆるピンチを乗り越えることができる実力に、裏打ちされた自信。自分の正義を信じて行動する姿は、たくさんの人たちを魅了してきました。それがセクシーで色気の根源ではないかと思います。

その自信が心に余裕を生み「マティーニをステアではなくシェイクで」というようなバーでの振る舞いや、レディーファーストを忘れない女性のエスコートやウイットに富んだユーモアのある発言ができるのです。

▲「マティーニをステアではなくシェイクで」という名セリフ イメージ:PIXTA

しかし、ジェームズ・ボンドのような自信を持てと言われたって、今の仕事に誇りを持てる人は少ないと思います。忙しさに追われ、惰性で過ぎていく日々。自信に裏打ちされた男の余裕なんて持てないよ、という人たちは多いでしょう。

そんな私たちがセクシーな色気を持つことは夢物語なのでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。最新の研究結果によると、誰でも自信を身にまとうことができる、ということがわかってきました。

ガッツポーズでテストステロンを分泌させる

ボディランゲージと言動の関係性を研究している、社会心理学者のエイミー・カディ教授によると、人間は力を誇示する場面では、両手を上げてガッツポーズをしたり、腰に手を当てて胸を張ったポーズをしたりして、体を大きく見せます。

いっぽう、自信がないときには体を縮ませて猫背になり、自分の体を小さく見せようとするそう。なるほど、今までの自分の行動を省みると、そうなっていることに気づくはずです。

▲ガッツポーズでテストステロンを分泌させる イメージ:PIXTA 

それでは体を大きく見せようとするだけで、自信がついたような雰囲気をまとうことができるのでしょうか? エイミー・カディ教授によれば、それは可能とのこと。

その秘密は、私たちの体内にあるテストステロンとコルチゾールに関連しています。テストステロンは男性ホルモンのひとつで、筋肉量や強度を保ったり、骨格をがっちりしたりする作用があるだけではなく、メンタルにも作用して、やる気やチャレンジ精神を引き起こしたり、公正さを求めたりして社会貢献をしたくなる思いが強まります。

コルチゾールはステロイドホルモンの一種で、私たちがストレスにさらされると体を守ってくれる作用がありますが、過度な分泌が続くと記憶の中枢である海馬の神経細胞がダメージを受けてしまうことが知られています。

▲コルチゾールの分泌が続くと海馬がダメージを受けてしまう イメージ:PIXTA

エイミー・カディ教授の実験では、体を大きく見せるポーズを取った人はテストステロンが増加し、そしてコルチゾールが減少した結果が得られました。つまり、実際に自信があってもなくても、体を大きく見せるポーズを取るだけで、余裕のある自信を身にまとうことができるのです。

ここ一番のデートのとき、絶対に失敗できないプレゼンのとき、さまざまな勝負に出なくてはいけないシーンの前に、鏡の前で2分間ほどガッツポーズを取ったり、両手を腰に当てて胸を張って体を大きく見せてみましょう。

外出先のトイレの中でもかまいません。すると、テストステロンの分泌が、あなたの心にやる気と余裕を生み出してくれます。そうすれば、自然とあなたの取る「行動」がいい方向へと変わり、モテ男への第一歩を踏み出すことができるでしょう。