チップから「ケチ」な県民を暴く!
ここからは特に個人の感想になりますが、地方に出張して配達したときも県民性が感じることがありました。
まずは沖縄で配達したときのこと。先ほど書いた通り、東京でチップをいただける割合は10%程度なのですが、那覇市内で配達したときはその比率が3回に1回だったように思います。アメリカの人との交流も多く、チップを支払う習慣のある人と接する機会が多いからなのでしょうか? 配達後、画面を確認したら「✅」マークがたくさんついていてビックリしました。
一方で、まったくチップがもらえなかったのが名古屋での配達。以前、この連載でもお伝えした名古屋での配達ですが、早朝から深夜まで配達して、1回もチップをもらえませんでした。
その後、金沢でも配達してみたところ、金沢では22回配達して2回チップをいただけたので、名古屋のしかも中心部で配達して0回というのは特筆すべき数字かと。「名古屋人はケチ」ともよく言われますが、はからずもその説の正しさを証明した形になりました。
いろんな街で丸一日配達して、都市別の「チップをいただける率」を算出したら、県民性みたいなものがでて面白いかもしれません。
闇夜に響く嘲笑の声…
最後は、腹の立ったパターンを。
45歳になるオッサンの私ですが、飲食店の混雑などの理由で配達に時間がかかる場合、「料理ができるのに時間がかかりそうです」とか「料理を受け取ったら、出発前に一度ご連絡を差し上げます」といったメールを送ることで、お腹を空かせた注文者にストレスをなるべくかけないような心遣いをしています。
その結果、チップをいただけたら光栄なことですし、チップ文化が浸透していない日本では当たり前のことと思われても、特に何も思うことはありません。
そんな私がイラッとしたのは、深夜12時過ぎに配達に行ったときのこと。唐揚げ弁当を受け取って配達先を確認すると、そこは某大学の学生寮。指定された場所がわからず、周辺をウロウロしていると「おっさん! こっち、こっち!」という声と、周りからさげすむような笑い声が。
どうやら、注文者用のアプリに表示された中年男の写真と、配達員の現在位置表示機能を見ながら「中年のさえないおじさんが、深夜に大学生のパシリをしている」という構図を楽しんでいる様子です。感情を殺して配達先へ行くと「写真と同じおっさんが来た!」と注文者の大学生とその仲間たちがケタケタと大爆笑し、片手で弁当をパッと受け取りました。
怒りを噛み殺し、配達を終え自宅に戻り詳細画面を確認すると、アプリ上には「✅」のマークとともに「チップ1円を含む」という文字が……。
励みになる100円。使うことで相手から怒りを買う1円。お金には使う人のセンスが出るものなのだ、と自分を納得させることで精いっぱいの45歳のおじさんです。