本物のお弁当のようなあたたかさが伝わる2つの表紙

そんなこんなで誕生したメンバーの写真を使った限定版の表紙だが、もともとはこちらのバージョンが「通常版」として書店に並ぶ予定だった。せっかく撮りおろした写真を大々的に使わないのはもったいないし、写真の仕上がりも素晴らしい。最初の段階では、もう、この表紙の一択だった。

ちなみに、この写真は『ももいろクリスマス2020』のパンフレット撮影終了後、ほんの少しだけ時間をお借りして撮ったもの。今回のパンフはメンバーの希望もあって、かなり大人っぽい衣装で撮影したのだが、それが終わった瞬間に、いきなり私服風の衣装に着替えることになったので、メンバーは「?」となっていたが、お弁当を手渡すと「!」という表情に変わった。一瞬で状況を理解してくれるのは、本当にありがたい。

カメラマンの池田晶紀さんもノリノリで「やったー、余ったお弁当を持って帰れるぞ。早くおうちに帰って、食べよーっと。えっ、何、今のフラッシュ? えっ、えっ、写真を撮られた⁈ ちょっとやめてください!」と『お弁当お持ち帰り事件』を再現するようなセリフを叫びながらシャッターを押す。メンバーはそれに合わせて表情やポーズを作ってくれるのだが、そのコンビネーションが完璧すぎて、本当にアッというまに終了した。

撮れ高もバッチリだったので、すぐさま表紙の製作に入ったのだが、そのときに対案としてデザイナーさんには「本全体がお弁当になっているような感じはどうか?」というざっくりとしたイメージを伝えていたのだが、それを受けて出来上がってきたのが、メンバーの顔をのりのように表現した「のり弁風表紙」。これが非常に味わい深く、書店に平積みされたときに、まるで「本屋さんでお弁当を売っている?」と錯覚しそうなのも、ちょっとインパクトがあるな、と思った。

実際、社内でアンケートを取ってみると、圧倒的に「のり弁」支持者が多かったそうだ。その中には「アイドルの本を買うのはちょっと恥ずかしい、という人でも、この表紙ならレジに持っていきやすいのでは?」という声も。さらに本なのに、お弁当っぽい「手作り感」や「あたたかみ」が伝わる、という効果も期待できる。

それでも「せっかく撮った写真を使わないのはもったいない……」という想いがあって、なかなか決断できずにいたのだが、はるえ商店での通販が決まったことで「書店ではのり弁風、ファンの方には写真バージョン」という棲み分けが自然にできるようになった。

マネージャーの川上アキラにも「どっちがいいと思いますか?」と2つの表紙を見せたところ「そりゃ、のり弁でしょう!」と即答。カメラマンの池田さんも「面白いじゃないですか!」とシャレをわかってくれたので「のり弁」が正式に通常版の表紙を飾ることになった。

この表紙がクリスマスイヴから書店に並ぶ、というのも、なんだかニヤニヤしてしまうような光景ではないか。今年の『ももクリ』はないけれど、クリスマスになったら、日本中にももクロの顔が踊ります!

ちなみにせっかく撮った写真は、たっぷりと本の中にカラーで掲載しているのでご安心を。書いた人間がこんなことを言ったら、元も子もないけれど、その写真を眺めているだけで、もう満腹感をおぼえることは必至! 「読めるお弁当」だと思って、ぜひ、手に取ってみてください。

▲ももクロの弁当と平和/小島和宏

<通販情報>
『ももクロの弁当と平和』(「はるえ商店」限定カバー)
通販開始:2020年12月11日 19:00
https://mailivis.jp/item/MOM201223OT.html