自身の友であり分身であり母である、それがセーラームーン
あの作品における月野うさぎは、まさに愛の体現者でした。
幼い頃はわからなかった彼女の魅力……周囲への甘えのように感じられたあれこれや、そもそも何故このように、なんの取り柄もない(と言われがちな)女の子が主人公で、愛される存在として成り立っているのか。それがこの物語できちんと描かれているのです。
彼女を見ていると、愛とは、ただ目の前に注ぐものなのだと。それはやがてセーラー戦士からも、タキシード仮面様からも感じられ、愛は注がれ、巡るものなのだと、感じ取れるのです。
作中の「もう誰も1人にしない」という月野うさぎの切なる思いは、転生した身ではありますが、美少女戦士セーラームーン(無印)最終話において、仲間たちを失って一人ぼっちになった彼女だからこそ、それを知っている私たちにはとてつもなく響くものがありました。
そのようにして、巡り巡った愛はフィオレに伝わり、そしてまた、うさぎに戻ってくる……この一連の流れは、こんなふうに、人が人を愛せたら人生は素晴らしいと思わせてくれるのです。
セーラームーンに出会わなかったら……
月並みな表現ですが、学校では教えてくれないことを、セーラームーンたちは数多く教えてくれました。
それは愛や正義だけでなく、友情はもちろん、立場や性別にとらわれない生き方、何より女の子たちが前に出て戦って輝いていること。それらが全て、今ある自分らしさというものに繋がっていったのを感じます。
今となっては当たり前のあれこれも、彼女たちのような先駆者が道を切り拓いてくれたのだと、心の中にある義務教育を再度見直して、新しい一年もピッと凛々しく進んでいきたいと思います。
プロフィール
松澤千晶(まつざわ・ちあき)
1985年1月28日、東京都生まれ。フリーアナウンサー。幼少期からアニメや漫画が好きで、初めて触れた作品は『魔法使いサリー』。そこから『きんぎょ注意報!』『美少女戦士セーラームーン』と投影作品にのめり込む。アニメ・漫画・ゲームへの知識・理解が深い。Twitter:@chiakinman
〇『劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal』前編は1/8から公開予定