コア向けだからこそ見いだせた海外の需要
――いま取り組んでいることや、これから取り組みたいことなどありますでしょうか?
DL斎藤 コンテンツの拡充と販売網の強化ですね! 最近は電子書籍の売り方や、紙書籍から電子書籍への転換について、多くの出版社様からお問い合わせをいただいております。ご相談いただいたコンテンツの電子化や、新規の出版社様とお取組みをスタートさせるべく日々取り組んでいます。
あとは、DLsiteは海外のユーザー様からも多くご利用していただいていて、売上の10%弱が海外のユーザー様になっています。その流れから、出版社様から海外販売についてのご相談をいただくようになりましたので、弊社では海外事業部を発足し、サポートや違法アップロード監視などの体制について整えています。
海外マーケットへの対応としては、中華圏や北米を中心に翻訳から販売まで一貫して対応させていただいています。弊社としてもユーザー様に合わせてサイトを多言語対応するなど、グローバルマーケットには注力しているので、引き続き伸ばしていけると考えています。
――だいぶ早い段階から海外向けのサービスを開始されてますよね。
DL斎藤 そうですね、おそらく弊社のコアユーザー向けなところで、英語の翻訳作品や海外作品というのも以前から販売していましたが、海外需要も多少はあるだろうというところで、2年ほど前から本格的に始めました。
今後は、いかに海外の売上比率を伸ばしていくか、そして海外の違法アップロード問題など、そういったところを織り込みつつ、どうやって海外シェアを取っていくかというのを考え、取り組んでいますね。
――違法アップロードに関しては、積極的な取り組みをされてますね。
DL山田 個人制作されている方にとっても大きなダメージになってしまうので、なるべくそういったところを弊社でしっかりと監視することで、信頼を得ていくのは大事だと思いますし、DLsiteだけでなく業界全体の課題になっていくと思います。頑張りどころだなと。
とくに今は、こういう不況な時期ですから、無料で読みたい願望が多くなっていて、また漫画村みたいなサイトが出てくるのではないかと……。そういう不安は、やっぱり消したいですよね。
――最後に電子書籍や電子書店の今後について、何かありますでしょうか?
DL斎藤 デジタルの世界において、書籍や漫画は従来の「めくって読む」という体験以外に「耳で聞く」オーディオブックや、動画として「見る」漫画といったものが、すでに生まれてきています。これから電子書籍市場がさらに伸びていくなかで、新たな読書体験の方法はもっと増えていくでしょうから、それが非常に楽しみですね。
弊社のサービスも20年以上続いているなか、徐々にユーザー層が変化してきているのを感じています。この変化に対応し、ユーザー様のニーズに応えていけるかが今後の課題と考えています。
――新たな読書体験の方法、ワクワクしますね。
DL斎藤 そうですね。他社様もされているとは思うんですけど、音声コンテンツというのが強くなっているのかな、という印象がありますので、そこを差別化していくっていう意味でも、弊社の強みでもある音声コンテンツで新規のユーザー獲得を狙っていこうと考えています。
――漫画と音声は親和性が高そうですね。
DL斎藤 これが行き過ぎてしまうと動画になってしまうので、漫画という媒体にどう価値を付けていくのかを、もっと探っていこうと思ってます。ユーザーニーズに合っているかもあるんですけど。弊社でそういったところを組み合わせて、一番いいものを作ることを目指していきたいですね。
DL山田 余談ですけど、まだ“匂い”の部分っていうのは攻めてないですよね。
DL斎藤 あ~匂いか、それは難しいですね。
――需要は絶対あると思うんですよね……絶対(笑)。
DL山田 耳がはやってるんで、次は鼻かなって。将来的にはありそうですよね、2040年くらいには(笑)。
――コンテンツへのこだわりがあるDLsiteさんに先陣を切って欲しいジャンルですね。DLsiteの斎藤さん、山田さん、ありがとうございました!
電子書籍だけではなく、ゲームや音声とさまざまなサービスを提供し続けるDLsiteさん。ユーザーのニーズを絶えず模索し、変わることを恐れないDLsiteさんのこれからの進化を楽しみにしています!
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