不寛容と不条理のごった煮

ウーバーイーツには、注文者や飲食店が配達員を評価する、なんとも不思議なシステムがあります。私たち配達員の空いている時間で、飲食店が作る料理と、お腹を空かせた注文者をつなぐパートナーのはずなのですが、評価されないといけないのは微妙な気分です。

下された評価は、配達員側に「あなたの直近100件の満足度は、GOOD 99%、BAD 1%です」という感じで通知されます。このGOODの数値が急激に下がると、運営側から「あなたの評価が急激に下がっています」という通知が届くのです。実際に配達できなくなるかどうかはわかりませんが、このまま評価が下がると配達ができなくなるのでは、というプレッシャーがかかります。

また、BAD評価がつけられると、どういう理由でBADとなったのか、その理由まで突き出される始末。

「商品が破損していた」「配達に時間がかかりすぎた」という理由に関しては、そう評価されるのも致し方ないな、ということが多いのですが「顧客から見たプロ意識の問題」という理由に関しましては、さまざまなものがありまして……。

▲コロナの影響から最近では「置き配」が主流 イメージ:PIXTA

コロナの影響もあり、最近ではドアの前に商品を置いて、配達完了のメールを注文者に送信して終了、という「置き配」が主流となっています。ある日のこと、いつものようにドアの前に商品を置いて注文者にメールを送り、現場を立ち去ったところ「プロ意識の問題」が理由でBADの評価を受けました。

この日は最高気温が10度を下回る、都内としては寒かった1日。注文者は、ドアの前に料理を置いたという配達完了メールに気づかなかったのでしょう。ドアの前に置かれた冷えた弁当を受け取り「プロなんだから、到着したことをハッキリ伝えろ!」と、どうやら感じたようです。そんなわけで、この通知があってからはドアの前に置いたらインターホンを鳴らして立ち去るようにしていました。

その2時間後、牛丼をドアの前に置いてからインターホンを鳴らして立ち去ろうとすると、部屋の中からけたたましい小型犬の鳴き声が……。気まずさを感じつつも、その場を立ち去ってから、しばらくして配達員用のアプリを確認すると「プロ意識の問題」が理由でBAD評価が下されていました。

▲社会の不寛容、理不尽に直面することも... イメージ:PIXTA

同じ日に2回もBAD評価をくらうことは、そうそうあることではありません。ボーっとその画面を見ていると、スーパーのレジ打ちAさんがエコバックに商品を入れる際、2Lのペットボトルを横にして入れたら「そんな入れ方をしたら量が入らないだろ。ペットボトルは縦に入れるのが常識。それでもプロか!」と怒られていたシーンと、縦にしてバッグに入れていた別のレジ打ちBさんが「縦に入れてペットボトルが倒れて他に買ったものをつぶしてしたらどうする! 横に入れるのが常識なんだよ。それでもプロか!」と怒られていたシーンがフラッシュバックしました。

社会の不寛容、理不尽には慣れているつもりですが、タイミング次第ではズシリと精神にくるもの。レジ打ちの方とは、一度プロの仕事について語り合ってみたいですね。