世の中には“間が悪い”人がごまんといらっしゃいます。人の悪口を言っていたら後ろからその当人が来たり、頼みごとをしようとしたら相手が忙しかったり、などと言い出したらキリがありません。
かくいう私も、人生の節目節目をタイミングよく選択していれば、45歳間近でペダルを踏む人生を歩んでいなかったでしょう。今日はウーバーイーツで出会った、間の悪い注文者のお話しをしましょう。
ウーバーイーツは注文してから料理が届くまでに1時間、場合によっては1時間30分以上かかってしまうことがあります。そんなときに「食事は後回し!」と切り替えて仕事をしてくれている分にはいいのですが、仕事じゃなかった場合、ものすごく気まずいことになるのです……。
脱ぎ捨てられた黒いパンスト
昨年末、配達依頼が入ったのは深夜の1時すぎ。宅配ピザのチェーン店でLサイズのピザを1枚受け取り、指定されたビジネスホテルに向かいます。ホテルへ配達する場合、普通はフロントに「●●号室への配達で参りました」と声をかけると「では、こちらでお預かりします」となって配達終了となるのですが、あらかじめフロントにウーバーイーツの配達が来ることを伝えていたのでしょう。「では、お部屋に直接どうぞ」とのこと。
エレベーターで上の階へ上がり、部屋の前でノックをすると……返事がありません。もう一度ノックをしても返事がありません。そこでお客様にお電話をしたのですがつながりません。
フロントの方が通してくれたのだから不在ということはないはずなのに……と思いながら、サポートダイヤルに電話連絡。「お客様に確認しますので、少しお待ちください」と言われ、少し待っていると、果たして「ガチャリ」と部屋の扉が開けられました。
そこにいたのは、腰からバスタオルを巻いた半裸の男性。年は30歳前後でしょうか。顔は汗ばみ、息も上がっています。伏し目がちにピザを渡して頭を下げると、脱ぎ捨てられた黒いストッキングが目に入りました。いかんいかんと目を背けてあわてて部屋をあとにします。どうやら到着まで待ちきれず、いろいろ始まってしまっていたようです。お取り込み中に失礼しました!
不思議な香りが漂う部屋から現れたのは?
夏の暑い季節に、古いアパートが立ち並ぶ下町エリアの住宅地へ、うどんを運んだときも複雑な思いを抱きました。
晩ごはんのピークタイムがそろそろ終わろうかという夜9時ごろ。うどん屋さんで渡された商品は、受け取った時点でつゆが少し冷えていました。つゆと麺はセパレートされていたので麺がのびる心配はありませんが、スープのぬるさから推測するに、配達員が決まるのに想定以上の時間がかかったと思われます。
そんな商品をリュックに入れて配達先の建物に到着。指定されたフロアにたどり着くと、なんだか独特の香りが漂っています。届け先の部屋が近づくにつれ、その香りはどんどん濃いものに……。部屋の前に着くと、冷房を入れているため窓は閉じているものの、窓や玄関のドアから香りがあふれ出しています。
ストレスの多い現代。リラックスするためにアロマなんぞ焚いているのだろうな。なんて思いながらインターホンを押すと、出てきたのは真っ白な装束をきた女性。女性は何かブツクサ言いながら商品を受け取り、部屋の扉を閉めました。その時、見てしまいました。魔法陣のような変な紋章が部屋の奥に掲げられているのを!
うーん、誰かを呪う儀式をしていたのでしょうか? いやいや、そんな時にうどんなんて食べないか? なにはともあれ、お取り込み中に失礼しました!
誰かを召喚する儀式を行なっているようでしたら、あなたが全身全霊を込めた儀式で召喚されたのが、ウーバーイーツの中年男性配達員で申し訳ございません!