日韓の間に横たわる問題はいくつもあるが「日本海呼称問題」もそのひとつである。日本人が当たり前のように“日本海”と呼ぶ海を、韓国は“東海”と呼び、世界中の地図に「日本海」と「東海」を併記するよう積極的な運動を繰り広げている。韓国が自国領と主張する「竹島(韓国名は独島)が、“日本海”の中にあったのでは「あたかも竹島が日本領のようだ」ということ。日本人が知らないうちに、この問題は世界に広がっている。竹島研究会の下條正男氏に「日本海呼称問題」を解説してもらった。

※本記事は、下條正男:著『竹島VS独島 -日本人が知らない「竹島問題」の核心-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

“日本海”という名前の「問題」とは?

竹島(韓国名・独島)と関連して、韓国が問題にしてきたのが日本海の呼称である。韓国は「“日本海”は、本当は“東海”という名だった」と主張し、国際的に浸透させるべく長年にわたって宣伝活動を行ってきた。

2020年、この問題については一応の決着がついた。“日本海”表記が唯一の呼称・表記であり“東海”表記や両者の併記については正式なものではない、と国際水路機関(IHO)が結論を出したからだ。 これは約30年にわたる韓国との攻防を経て、日本がようやく勝ち取った「“日本海”単独表記」だった。

事実「“日本海”単独併記」は、劣勢に立たされていた。韓国側によると、世界の地図で「東海併記」とするものは、2000年は2.8パーセントだったが、2009年には28パーセントに達した。

2020年には40パーセントを目標とするまでになったとして、韓国側は自画自賛していたのである。いつの間にそのような状況になっていたのか、と驚く読者もおられるかもしれない。

▲“日本海”という名前の「問題」とは? 出典:ウィキメディア・コモンズ

「日本海と東海を地図に併記」という韓国の主張

「日本海呼称問題」は、1992年、国連地名標準化会議の場で、韓国政府が日本海(the Sea of Japan)の単独表記を問題として、韓国側の呼称である東海(the East Sea)にすべきだ、と主張したのが始まりである。

韓国側が日本海の呼称を問題にした背景には「独島が日本海の中にあると、日本の領海の中にあるようで不適切である」との理由があった。それを韓国側ではあたかも歴史上の論争であるかのように「東海の名は日本海より古い」「歴史的根拠がある」「日本の帝国主義に押されて主張できないでいるうちに、日本海が定着してしまったのだ」と主張し始めたのだ。

韓国側の主張によると、1929年、国際水路局(現在の国際水路機関)で、海図や地図の標準となる『大洋と海の境界』が編纂された際、韓国は日本の植民統治下にあった。そのため韓国では2000年前から使われてきた東海の正当性を主張する機会が閉ざされ、日本海となってしまった。今こそ日本海に代えて、韓国が2000年間使用してきた東海に改めるべきだ、というのがその論理である。

その他にも、韓国側は「広開土王碑」や『新増東国輿地勝覧』所収の「八道総図」、『我国総図』などに“東海”の文字があると、それを現在の日本海に読み換えては「日本海は東海であった」証拠としてきた。しかしこうした韓国側の主張は全て文献が正確に読めていないだけで、何の根拠もない。