Good morning!ロサンゼルスからやってきました、風の時代の風雲児。風野又二朗でございます。
3月になりましたね。もう寒いのはいいよう、飽きたよう、暖かいのがいいようと思っていたところでしたので、ここで3月になってくれたのは、とても嬉しいです!
気温と共に、風野のテンションも上がって参りました!!!今日も宜しくお願いします!
さて!先日、映画の撮影をしていました。かなり特殊な状況から生まれた作品だったのですが、というより、作品が作られるという事は、そもそも特殊な状況なんですけど。
事の始まり、撮影までの道のりが、今までに経験した事のないアプローチだったので、心と体が常に緊張と興奮状態にあり、とても刺激的な期間でした。
眠っている夢の中にも、常にこの作品の事が出てきていたので、これが噂の“全集中の常中”(※)状態か、と思いながら、数ヶ月を過ごしました。
この時期にオリジナル作品を撮影できた事、キャストやスタッフが体調を崩す事なく、無事に撮影を終える事ができて本当に良かったなと思っています。
ワンダフルな事、いやニャンダフルな事がたくさんあったので、これはまた、別のタイミングでじっくり書きたいと思います。
(※)鬼滅の刃に出てくるあれです。常中って書くんだ、常駐じゃないんだ!へえ!となりました。
昨年、映画館でミッドナイトスワンを見たときに、ヒロインで出演されていた服部樹咲さんのお芝居にとても衝撃を受けました。
作品も内容も素晴らしくて、終始、草彅剛さんのお芝居や存在の凄みに圧倒されていたんですが、そのなかで渡り合っていた服部さんの佇まいに、風野は途中から引き込まれていきました。
今作がデビュー作になった服部さんは、俳優が人生で1回だけ表現できる、“初めてのお芝居”を存分にこの映画のなかで魅せていました。
私たちが普段目にする9割以上の作品に出てくる俳優たちは皆、すでにプロとしてこの世界のなかで何らかのカタチで勝ち上がり、選ばれ続けた人たちで構成されています。
当然、そのなかにはデビュー作で、初めてのお芝居をする新人俳優たちもいるわけですが、このように、メインキャストで物語の軸になっていくところでの起用はそんなに多くはありません。
新人俳優を起用することは、未知であるがゆえに不安もあるけど、爆発したときのエネルギーは、すでにたくさんの事を経験している俳優のそれを、違う角度で飛び越える事があります。
ミッドナイトスワンの服部さんは、まさにそれで素晴らしかったです。きっと、準備の段階でかなり、内田英治監督が向き合われたんでしょうし、教えたり教えなかったり、全く違う角度から話すことで、彼女の本質を誘発させたりしたんだろうなあ、と勝手ながら考えていました。これが服部樹咲さんの女優人生にとって、原点になる作品になるんだと思いました。
誰かの何かの始まりを見たとき、自分の始まりを振り返るときがあると思うんですが、ちょうどこれがきっかけで、風野も自分の原点へと振り返るタイミングとなりました。
映画館から気がつけば家の近所まで歩いて帰ってきてしまっていて(めっちゃ長距離。足がパンパン)、ふと思いました。
え!ちょっと待って!審判タイム(手をTの字にして)!風野又二朗の原点ってなんだ?ロサンゼルス?TBSラジオ?あるいは、初めて監督の仕事をしたあの日なのか?それとも、十五少年漂流記を読んで小説家になりたいと思った、あの少年時代なのかな。
どれも、複雑に絡み合って連なったところの上に立っている事象なので、自分勝手にここが風野の原点です!と言うのは、考えれば考えるほど乱暴な決定になってしまうなと思いました。
家の前で逡巡を始めて、すでに30分が経っていたんですけど、もうね、埒が明かないので『初恋』。風野の原点は『初恋』でーす!って決めました!!!あの日、小学校のとき、思わず冷たい態度を取ってしまったあの子への気持ち!急に目が合わせられなくなったあの日の!あれ!です!あれが原点だという事にして帰宅しました!
次の日の朝。目覚めが悪いよね。だって、無理矢理『初恋』が原点だって事にしてしまったんだもの。ヘイ!それは、ただ甘酸っぱい思い出であって、原点ではないんじゃない?という事は、数十秒前に皆さんも思った事だと思います。
風野は、その日から芝居の養成所、芝居の学校に足を運び始めました。自分が過去に行っていた事があるわけではないんですが、ここで自分の原点を見つける事ができるかもしれないという、微かな光を求めたのか、それとも、まだ見た事がない、出会ってない才能に出会いたいと思ったのか、おそらくその両方なのですが、通い始めました。
芝居の養成所、学校に行くといっても、習う方ではなく、見学です。芝居の先生たちがどうやって芝居を教えているのか、そして、教わる彼ら、彼女たちは、そのどんな言葉に、どうやって反応するのか、じっと見ていただけなんですけど。
まだ作品に参加した事がない、人の前に立ってお芝居をした事がない俳優たちのレッスン、あるいは、すでにある程度経験をしているけど、さらに芝居を高める為に受けているレッスンを見るのは、とても面白い時間でした。見ていてお芝居が上手いなあ、という人に限って、レッスンが終わった後、どうでしたか?と、聞いてくるのも、なるほど、そういうものなのかと思ったりもしました。
何回か通っていくうちに、これは短い期間では何も分からない事が分かりました。ただ、この場所に長くいる事でここに自分の居場所ができてしまうと、見えなくなってしまう事があるぞ!とも同時に思い、それらを理解したうえで向き合ってみる事にしました。
そこで気がついたんです。おや。ここには、風が吹いているぞ、と。
そこには、かなり純度の高い熱情がこもった風が吹いていて、ここに帆を張って風を集めてみようと思いました。そんなタイミングで偶発的にさまざまな事が重なり、風野組の映画を製作する事につながっていったんですが、それは、又、いずれ書きたいと思います。
2021年現在、風野にとっての原点回帰とは、なにか。
原点に向かって回って帰る、という事なのだとしたら、必ずしも自分の歩いてきた人生を、そのまま引き返す事ではないんだと思いました。
少なくとも風野にとっての原点回帰とは、振り返るつもりで歩いていた道が、進んでいる道だった、という事でした。
カゼノーの皆さんにとっての原点って何ですか?すぐに思いつく点は、よくよく考えてみると起点や分岐点だったりしますよね。なんだろう。風野もよく分からないです。
引き続き、自分の心と体に揺さぶりをかけながら、それは何なのか、調べてみたいと思います。この物語には続きがあるので、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)していきますね!!(ウインク)
今回の風野のオススメ映画は【リトルダンサー】です。バレエが出てくる映画って思い浮かべるといくつかあったんですけど、圧倒的に好みで、大好きな映画です。見終わった後に、心にポッと優しい火がつく映画です。是非、見てみてください。
それでは、又、風の吹く日に。